研究課題/領域番号 |
19K14295
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松本 拓真 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50805489)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 受身性 / 特別支援教育 / カタトニア / インタビュー / 発達プロセス / 青年期 / 幼児期 |
研究開始時の研究の概要 |
「自閉」という言葉がもたらすイメージから,自閉スペクトラム症を抱える子どもは他者との関係を築けないと思われることが多い。しかし,Wingらが発見したように他者の指示に従順で,自由な時間でも好きなことをしようとしない受身的な子どももいるが,問題行動の少なさからほとんど関心を向けられてこなかった。受身性は指示待ち,不登校,進路選択の困難などの指導上の問題だけでなく,近年のうつの背景や,緊張病の背景と想定する知見も見られており,問題となる側面も考えられ始めている。しかし,実際に受身性をどう捉えるか,幼少期から成人になる発達の中でどう発達するのかは十分に理解されておらず,そこに光を当てる研究である。
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症の受身性の発達段階ごとの特徴を明らかにし,それらの知見をまとめあげ,発達プロセスの理解へとつなげていくことが本研究の目的である。すでに実施済みであった受身的な特徴を持つ青年・成人の親計9名(子どもの年齢は17歳~32歳:平均22.6歳)へのインタビューの分析作業を行い,発達心理学会第34回大会にてポスター発表を行った。その際のディスカッションにより,多くの支援者が自閉スペクトラム症を抱える子どもの受身性に苦慮していることが明らかになり,本研究の意義が再確認された。一方で採用した質的研究法であるTEMについて筆者の理解が不十分であったことがわかり,親を対象としたインタビューであるからこそ社会・文化的な要素と子どもの状態との連動を描き出す必要があることがわかった。 また,昨年度までの研究により,PASASの全年齢版を作成した多サンプルの検討を実施する以前に,対応に苦慮している保護者・支援者の多い思春期の事例への知見を蓄積することが受身性の発達プロセスの解明にとって重要であることがわかってきている。特に,思春期は自閉症のカタトニア(緊張病)の好発期とも重なっており,思春期青年期のカタトニアへの支援に注力してみると,受身性の延長としてのカタトニアという仮説を抱かせる事例が散見されることがわかってきた。私がShah(2019)のPsycho-Ecological Approachを取り入れ,特別支援学校や他の支援機関との協働により,カタトニアに対する支援事例を経験し,特別支援教育卒業後のデータも蓄積することができた。その後に様々な支援機関との交流の中で,受身性の発達ププロセスを考慮すれば,どの年齢を対象とする特別支援教育実践者にとっても,思春期以後に自閉症のカタトニアが生じる可能性があることを認識し,意志表出支援などを考慮しておくことが重要であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大のため,人を対象にした研究は自粛が求められる状況に置かれており,長らく幼児期への直接観察が不可欠であったことから、PASASの全年齢版を完成させることは困難であることがわかっている。しかし,本研究主題に関連した困難を抱える子ども・保護者・支援者との臨床的な出会いの蓄積により,自閉スペクトラム症の思春期の理解と受身性の増悪(カタトニア)の知見こそが,受身性の発達プロセスの解明に有益であることがわかってきた。そのため研究の方向性を昨年度より青年・成人を対象とした研究に注力することに修正し,現在の社会状況の中で本研究課題の自閉スペクトラム症の受身性の発達プロセスの解明については一定の知見が獲得できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はこれまでに蓄積した知見を,他の研究者による最新の知見などとも統合し,学会発表などの機会を生かしながらまとめ上げ,公表していく期間として考えている。そして,この知見を実際に特別支援教育を提供している支援者と共有し,有用性と課題を明確にしていく。それらの活動により,「自閉スペクトラム症の受身性の発達プロセスの解明」という研究目的は一定の達成が得られると期待できると同時に,さらなる研究が必要な領域が明確になてくるだろう。
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