研究課題/領域番号 |
19K14353
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 立正大学 (2022) 玉川大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山田 順子 立正大学, 心理学部, 助教 (20837124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 向社会的意思決定 / 文化 / social mindfulness / 共感 / 視点取得 / 社会生態学的アプローチ / 文化差 / Social Mindfulness / 神経基盤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、向社会的な意思決定を支える神経基盤の文化差と、そうした文化差を生み出す要因について検討する。意思決定において他者に選択の余地を残そうとする向社会的意思決定は、他者への共感や視点取得に関わる脳部位と関連することが近年明らかにされている。一方で比較文化研究は、こうした共感に基づく向社会的意思決定は北米的パターンであり、東アジア人ではむしろ向社会的にふるまわなかった場合に生じる集団からの排斥といった社会的罰への恐怖から向社会的意思決定が生じると論じている。そこで本研究は、日本人と北米人の間で比較研究を行い、向社会的意思決定を支える神経基盤の文化差と、そうした文化差の説明要因を明らかにする。
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研究成果の概要 |
自発的に自己の欲求を抑制し他者の選択肢を最大化しようとする向社会的意思決定 (social mindfulness: SoMi) およびその心理メカニズムの文化差を検討するため、日本で得られた大規模サンプルデータ、また日本および北米の間で国際比較研究を実施した。分析の結果、北米よりも日本においてSoMiが高かった。またSoMiは日本と北米のいずれにおいても共感性、特に視点取得と関連することが示された。しかし、SoMiと視点取得の関連については日本と北米で異なるパターンが得られ、北米では視点取得とSoMiが逆U字型の関連を示すのに対し、日本ではU字型の関連が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、向社会的意思決定であるsocial mindfulness (SoMi) に文化差があること、またSoMiの背後にある心理メカニズムが文化によって異なる可能性が示唆された。特に、共感性がSoMiと関連することは日本と北米で一貫していたものの、共感性とSoMiのパターンは文化によって異なることが示された。このことは、外的には同じ行動であっても文化によって異なる心理基盤に基づいている可能性、また同じ心理であっても文化によっては行動に対して異なる影響を与える可能性を示唆するものであり、人間の複雑な行動を理解する上で文化的影響を考慮することの重要性を示すものと言える。
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