研究課題/領域番号 |
19K14364
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
青木 隆太 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任准教授 (50751103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | fMRI / ASD / 社会神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)における社会的コミュニケーションの不全を説明する仮説として、社会的な刺激や情報が報酬として感受されないことが原因であるとする「社会的動機づけ仮説」が提唱されている。本研究では、計算論的アプローチを用いた脳イメージング実験とグラフ理論に基づくネットワーク解析を組み合わせて、「社会的動機づけ」に関与する脳ネットワークを同定し、そのネットワークの動態にASD患者と定型発達者で差がみられるかを検証する。本研究はヒトの脳に備わる社会的動機づけの神経基盤の解明に貢献するとともに、ASDを定型発達や他の疾患と鑑別するための新たなエンドフェノタイプの発見につながると期待される。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,脳イメージングとネットワーク解析を組み合わせて,自閉スペクトラム症(ASD)当事者と定型発達者の間での機能的脳ネットワークの特徴の差異を明らかにすることであった.大規模な安静時fMRIデータの解析により,ASD当事者では定型発達者よりもデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)内に属する脳領域間の機能的結合性の平均値が低いこと,またDMN内の安静時機能的結合性ネットワークの時間的変動性が高いことが示された.さらに,ASD当事者に関して,臨床において標準的に用いられている症状評価尺度(ADOS)のスコアが高い人ほどDMN内の平均機能結合性が低いという個人間相関がみられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で実施した大規模脳画像データの解析を通じて,ASD当事者と定型発達者での機能的脳ネットワークの違いの一端が明らかになった.特にネットワークの時間的変動性に関して得られた知見は,ASD当事者が抱える感覚症状やコミュニケーションの際に感じる困難さと関連する可能性があり,今後さらに発展的な研究をおこなうに値する.一方で,ASDの神経メカニズムをより深く紐解くにはデータ収集時点での施設間のプロトコル(撮像シークエンスなど)の統一や個人レベルでの計測精度の精緻化(precision functional mapping)が極めて重要であることを示す結果も得られた.
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