研究課題/領域番号 |
19K14373
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 一橋大学 (2022) 京都ノートルダム女子大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
後藤 伸彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40824959)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会的アイデンティティ / 実行機能 / 複数集団メンバーシップ / 認知機能 / 学業成績 / 複数集団成員性 / ワーキングメモリ |
研究開始時の研究の概要 |
人は複数の集団(家族、職場、国)に所属しており、どのような立場から物事を見るかによって、同じ事柄に対してであっても、考えや行動が変わることが知られている。一方で、このような思考や行動の基盤には実行機能と呼ばれる脳の機能がある。所属集団の数にも、実行機能の機能性にも個人差があることが知られているが、これら両者がどのように関係しているかは知られていない。そこで本研究は所属集団が多い人ほど、実行機能が高いと予測し、これを検証することを目指す。また個人が所属している集団が多くあることに気づかせることで、高齢者の実行機能の維持に貢献するかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
人は複数の集団(家族、職場、国)に所属しており、どのような立場から物事を見るかによって、同じ事柄に対してであっても、考えや行動が変わることが知られている。またこのような考えや行動の変化は1日の中で様々な集団(家族、学校、職場)の一員として振る舞うことで頻繁に起る。一方で、このような思考や行動の基盤には実行機能と呼ばれる脳の機能がある。所属集団の数と、実行機能の機能性との双方に個人差があることが知られているが、これら両者がどのように関係しているかは知られていない。そこで本研究は所属する集団の多さと、複数の側面に分解可能な実行機能の、どの側面に関係が見られるかを明らかにすることで、「集団に所属する」という人の基本的な行動と性質についての新たな理解と深い洞察を得ることを目指している。 2021年度までに、所属集団の数と基礎的な実行機能課題の成績、またより複雑な実行機能の活用・統合が必要と考えられる大学のレポートの成績が関連することを明らかにした。2022年度はこれまで得られていた相関的データから一歩進んで、因果関係が見られるかを検討した。具体的には自身が所属する複数の集団の視点から、3日に分けて時事問題について考えさせ、そのことが難易度の異なる実行機能課題の成績に影響するかを検討した。 その結果、充分な差は見られなかった。この理由として複数のことが考えられる。1.従属変数として用いた課題が難しすぎた。その可能性として難易度の低い方の課題では有意ではないが仮説に一貫する傾向が見られた。2.考える期間が短すぎた。この可能性を検討するため、週2回、1か月にわたって計8回、時事問題について自身の所属集団の視点から考えるトレーニング実験を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に引き続きコロナの影響で対面での実験が困難であったが、オンライン実験により着実に成果を積み上げている。意図した効果は十分に見られなかったが、新たに得られた課題を明らかにする実験を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに実施中のトレーニング実験を引き続き、より多くの参加者を対象として行う。さらにこのようなトレーニングの効果が、動機づけの過程とは異なるものであるか、あるいは一般的な視点取得の効果とは別のものであるかを検証するために、それぞれに対応した実験条件を設定して実験を実施する。 またこれまでに得られた成果を国際学術誌等で発表をする。より広範な研究領域へのインパクトを増すためオープンアクセス形式で掲載をしその掲載料に2022年度の助成金を使用する。
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