研究課題/領域番号 |
19K14406
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
浦上 萌 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (70805762)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 心的数直線 / 数量概念 / 操作 / 係数 / 幼児 / 計算 / 計数 / 序数性 / 方略 / 認知発達 |
研究開始時の研究の概要 |
数量の知識や能力を規定する心的数直線は,就学後の算数の成績や数学的思考・能力と関連している。心的数直線は数直線上で数を見積る数直線課題により可視化されるが,頭の中にある心的数直線(イメージ)を動かしながら(操作しながら),数直線上で数を見積る必要がある。しかし,これまでの研究ではどのように心的数直線を操作しているかに着目されてこなかった。 本研究では,数直線課題を改良することで幼児における心的数直線の操作の実態を明らかにし,操作が促されるような介入を実施する。この研究によって,心的数直線の発達過程の枠組みの詳細が明らかになり,発達に応じた教育支援に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では,幼児期後期に形成されると考えられる心的数直線の発達過程とその操作の実態を明らかにすることが目的であった。昨年度より育児休業を取得していたため,本年度は年度途中より研究活動が再開した。そのため,改めて先行研究のレビューをするとともに課題の内容について精査した。さらに3歳児から5歳児の数量活動について観察を行い実態把握を行った。 これまでの研究で,数直線課題を答える際に心的な数量表象を利用しているとする立場と(Booth & Siegler, 2006; Dehaene, Izard, Spelke, & Pica, 2008; Siegler & Opfer, 2003など),比率判断が必要である課題で数量表象の発達を捉える課題ではないとする立場(Barth & Paladino, 2011; Cohen & Sarnecka, 2014など)の2つの見解があったが,Yuan, Mix & Smith (2021)が数直線課題の刺激の提示方法を改善した結果,幼児期の4歳から6歳児に関しては数量表象を使用していることが明らかになった。よって本研究の目的でもある幼児期の心的数直線の発達を支持する結果となった。課題についてはYuan et al.(2021)が使用していた範囲や量の表示の仕方も取り入れて検討した。 また,こども園での観察により,数量活動については年齢別のクラスにより観察できる数量活動が変化することが明らかになった。具体的には,いずれの学年も計数する活動はよく見られたが,足し算や引き算の計算については4歳児,5歳児クラスに限られ,数量の比較についても年長児に多く見られるという結果となった。また大きな数(100や1000など)については漠然と大きな数という認識で曖昧であるが,長い,大きいといったことを大きな数を使用して表そうとする姿が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度8月末まで育児休暇を取得しており,2023年度の研究活動は年度の半分程度しか実施できなかっため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きこども園での観察を行い数量活動の実態について明らかにする。観察データについては観察された数量活動の種類を分類して具体的な事例を示し,論文化する。 加えて,実験課題を実施できる園の協力を得て,課題実施が実現できるようにする。課題については,幼児の数量単位の捉え方を明らかにするため,数直線課題の長さのバリエーションを増やして実験を実施し,与えられた数直線の長さに応じた単位の大きさに変化させることができるかどうかを検証する予定である。Yuan et al.(2021)の使用していた数直線の範囲を参考にし,0-10,0-20の範囲を用いることも検討する。
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