研究課題/領域番号 |
19K14452
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
利重 裕子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70813848)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 対人関係療法 / 遺族 / うつ病 / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、乳がん患者のうつ病に影響を与える「満たされないニード(患者が求めている援助)」の多くが、情報・心理領域の2つであること、すなわち「乳がんに関する情報提供の不足」と「家族や医療者からの心理的サポートの不足」であることを研究にて示した。さらに、この2つはうつ病の思考力低下・自責感などと相互作用して、うつ病をさらに増悪させることを我々は臨床経験より見出した。本研究では、対人関係療法に情報提供を加え、「1.乳がんに関する情報提供 2.家族や医療者からの心理的サポートの確立 3.うつ病治療」を行う包括的な治療である、修正版対人関係療法マニュアルを開発し、その効果検証を行う。
|
研究実績の概要 |
2022年度には、主診断がうつ病もしくは複雑性悲嘆である遺族に対する対人関係療法を施行し、4名の遺族に対する対人関係療法を終了した。現在、1名の遺族には対人関係療法を施行中である。2022年度末までで、合計9名の遺族に対して対人関係療法を届けることができている。これまで有害事象を認めず治療完遂率100%であることから、引き続き研究実施を継続していく。また、日本の遺族のうつ病に対して、日本文化特有の慣習や死生観に合わせた治療戦略を用いて対人関係療法を施行した症例について、英文雑誌で症例報告として発表した。
慢性うつ病患者に対人関係療法を施行する際、患者の個別の要因として、患者に夫婦関係の苦痛がある場合には、夫婦関係の苦痛を軽減し症状改善を図ることを目的として、夫婦同席面接治療を施行し、患者および配偶者にアプローチをしている。対人関係療法の治療効果をさらに高めるためには、慢性うつ病患者における「夫婦関係の苦痛をもたらす要因」を明らかにし、それらの要因を考慮した上で、夫婦同席面接治療にて夫婦関係の苦痛を軽減し、慢性うつ病の症状改善を図ることが重要であることを見出した。慢性うつ病の女性患者の夫婦同席面接治療に対するニーズが極めて高いため、特に慢性うつ病の女性患者における「夫婦関係の苦痛をもたらす要因」を明らかにすることが治療に役立つと考えた。そこで、慢性うつ病の既婚女性の夫婦関係の苦痛に関連する夫婦関係の特徴について、オンラインアンケート調査を行い、その結果を英文雑誌に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、研究対象となる患者の受診が減少したことで、研究のリクルートが滞った時期があったため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、チラシやHPを活用して研究のリクルートを進めていき、遺族におけるうつ病・複雑性悲嘆に対する対人関係療法の前向き観察研究にて目標症例数に達した後、その結果を英文雑誌へ投稿する予定である。
|