研究課題/領域番号 |
19K14455
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岸本 直子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90596743)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | At Risk Mental State / ロールシャッハ・テスト / 唾液 / サイトカイン / 精神病発症危機状態 / 統合失調症 / ARMS |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症の前駆期と考えられている精神病発症危機状態(At-Risk Menta State:ARMS)を診断できる客観的な評価方法や生物学的バイオマーカーは存在しない。本研究では対面式の評価方法のみに依存しない深層心理を含めた多角的なロールシャッハ・テストに加えて、生物学的な観点では、侵襲性の少ない唾液の採取からストレス・免疫炎症系に焦点を当て解析し、分子マーカーの変化との関連性を検証し、ARMS患者の疾患特性を理解し、診断技術の創出に役立てる研究とする。
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研究実績の概要 |
疫学的には幻覚や妄想などの明らかな陽性症状が出現する数年前から,認知機能の低下や社会機能の低下、陰性症状を前景とした発病前にみられる「前駆状態」と呼ばれる期間が存在することがわかっており,前駆期の前方視的な概念として精神病発症危機状態(At-Risk Mental State:以下ARMS)の存在が提唱されている。しかしながら,ARMSの評価には,現在のところ,半構造化面接による評価が用いられているが,本人の訴えに拠るため,客観的な評価法が求められている。心理学的検査法の1つであるロールシャッハ・テストは精神病の鑑別として有用で広く汎用されている。ロールシャッハ・テストをARMS患者に適応し,健常対照群や統合失調症群と比較することは,対面式の評価方法のみに依存しない思考や認知の質的な異同を見出すことが可能であると考えられる。本研究では,ロールシャッハ・テストを用いて,検討することに加え,ストレスに関連しているホルモンとして唾液成分からの抽出を試みる。こころと身体がストレスを感じる仕組みである生体内のストレスシステムには,神経伝達物質,ホルモン,サイトカインなどの生化学物質,すなわちバイオマーカーが密接に関与し,これらが感情や認知に影響を与えていることが明らかになりつつある。実際にどのようにARMS患者の精神病理に関与しているかは不明であり,精神病理-生化学連関を明らかにすることはARMS患者の疾患病理の理解を深め,バイオマーカーの確立にも極めて重要であると考えられる。そこで,本研究では奈良県立医科大学附属病院精神科を受診したARMS患者10名および統合失調症患者10名にロールシャッハ・テストの実施と唾液の採取を行った。また、一般公募による健常者10名の唾液採取を行った。ロールシャッハ・テストおよび唾液中の成分について解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響にて、唾液採取が困難であったため、進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ARMS患者および統合失調症患者から得られたロールシャッハ・テストの変数について検討していく。加えて、健常者から採取された唾液成分も併せて、解析を進めていく。心理学的検査法から示される結果と、生体内のサイトカインなどのストレスの程度を示すホルモンの数値に関連があるか否か、ARMSに特有の所見を見い出せるか否か検討を進めていく予定である。
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