研究課題/領域番号 |
19K14477
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 相模女子大学 (2020-2022) 慶應義塾大学 (2019) |
研究代表者 |
山本 絵里子 相模女子大学, 人間社会学部, 講師 (50572202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 舞踊 / ダンス / リズム / 階層性 / 乳児 / 発達 / 身体表現 / 身体運動 / 運動 / 運動発達 / 運動学習 / 模倣 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の大きな目標は舞踊行動の進化的・発達的起源を明らかにすることである。舞踊行動は特定の順序で並べられた複数の抽象的な身体運動からなる時系列情報であり、それらの身体運動が段階的に統合されることで階層構造をもつ。ヒトの舞踊行動の萌芽は発達初期にみられる。乳児は、リズミカルな身振り手振りを用いて、養育者とのコミュニケーションを開始する。しかし、発達初期の律動的な身体運動の構造、そして、その律動的な身体運動の経験とその後の身体運動の階層構造を創作する能力との関連性については明らかにされていない。そこで、本研究では、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程を明らかにすることである。2022年度は、舞踊行動という身体表現活動により、どのような能力が獲得されるのか検討するために縦断研究を実施した。本研究では、乳児が生後9カ月、12カ月、18カ月そして24カ月の時点で新版K式発達検査を実施した。また、養育者を対象におどりの発達に関する質問紙調査と遠城寺式乳幼児分析的発達検査を実施した。そして2つの成果を得た。 成果1)生後9カ月時点における舞踊行動及び喃語の関係性を検討した。舞踊行動と喃語にはリズムの階層構造を有するという共通の特徴がある。一般化線形モデルを用いて、生後9カ月時点での舞踊行動の出現と喃語の出現の関係を分析したところ、K式の項目(運動姿勢、認知適応、言語社会)ごとの得点に関係なく、生後9カ月時点で舞踊行動を表出していた乳児は、舞踊行動を表出していない乳児と比較して、生後9カ月時点で喃語を表出している割合が高かった。 成果2)生後9カ月時点における舞踊行動の表出能力と12カ月から24カ月時点の認知発達との関係を検討した。一般化線形モデルを用いて、生後9カ月時点での舞踊行動の出現の有無と12カ月から24カ月の認知発達の関連性を分析したところ、K式の項目(運動姿勢、認知適応、言語社会)ごとの得点に関係なく、生後9カ月時点で舞踊行動を表出していた乳児は、舞踊行動を表出していない乳児と比較して、生後24カ月時点での認知適応能力と言語社会能力が高かった。 本研究の成果は、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力に関する発達モデルの枠組みを提供する点で重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程を明らかにするため、縦断的研究を開始するとともに、1つの主要な成果を得た。具体的には下記の通りである。 研究計画1では、乳幼児期の自発的な身体運動の構造を縦断的及び横断的に分析し、乳幼児期の身体運動の階層構造の発達的変化の解明を目指している。本年度は、舞踊という身体表現活動によりどのような能力が獲得されるのか検討することで、身体運動の階層構造の発達に影響を与える認知的要因を明らかにした。本研究の成果は、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力に関する発達モデルの枠組みを提供する点で大変重要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、舞踊行動の根底にある身体運動の階層構造を創作する能力の発達過程の解明に向けて、生後9カ月から生後12カ月までの舞踊行動の複雑性とそれらの発達に影響を与えると考えられる認知的要因の関係性を分析する。 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のため、当初予定していた実験室や教育現場での実験の実施が困難となっていたが、2022年度の後半より当初予定していた実験が再開された。そのため、次年度の前半まで実験の実施に重点を置く予定である。
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