研究課題/領域番号 |
19K14490
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
古家 宏樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (90639105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 幻覚 / 統合失調症 / 新生仔期NMDA受容体遮断 / 表象媒介性味覚嫌悪条件づけ / ラット / 現実認識能力 |
研究開始時の研究の概要 |
幻覚は統合失調症の中核症状であるが、その神経メカニズムは解明されておらず、動物を用いた基礎研究が望まれている。近年、表象媒介性味覚嫌悪条件づけ(RMTA)を利用して動物の現実認識能力を評価できるようになってきた。しかし、RMTAが幻覚と共通の神経メカニズムを介しているのかは不明であり、動物の幻覚様症状の評価法として妥当であるのか検討する必要がある。本研究では、統合失調症モデル動物である新生仔期NMDA受容体遮断動物でRMTAが成立するのか、またRMTAが成立する際に、幻覚体験時と同じ脳領域の活性化がみられるのかを調べることで、RMTAの動物における幻覚様症状評価法としての妥当性を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究は、内的表象と嫌悪的事象との連合学習である表象媒介性味覚嫌悪条件づけの動物の現実認識能力評価法としての妥当性を検証した。我々は、統合失調症モデルである新生仔期NMDA受容体遮断ラットにおいて、表象媒介性味覚嫌悪条件づけが成立しやすいことを明らかにした。このラットは、統合失調症の幅広い症状を模した行動表現系を示すだけでなく、患者の脳において観察されるものと同様の脳形態異常を示した。このように、新生仔期NMDA受容体遮断ラットは優れた表面妥当性および構成概念妥当性を有している。これらのことから、表象媒介性味覚嫌悪条件づけは動物における幻覚様体験の有用な査定法であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幻覚は統合失調症の中核症状のひとつであり、患者のQOLに大きな影響を及ぼしている。これまで動物で幻覚様体験の有無を調べることは困難とされ、幻覚の神経メカニズムには不明な点が多かった。本研究は、優れた表面妥当性・構成概念妥当性を有する統合失調症モデルにおいて表象媒介性味覚嫌悪条件づけが成立しやすいことから、同パラダイムは、動物における幻覚様体験の有用な査定法であることを示唆する。表象媒介性味覚嫌悪条件づけを用いた基礎研究により、幻覚の生物学的基盤の理解が大きく進展し、幻覚を示す精神神経疾患の神経メカニズムの解明および有効な治療法開発に役立つことが期待される。
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