研究課題/領域番号 |
19K14503
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京電機大学 (2023) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
時本 一樹 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (20783385)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 局所Langlands対応 / 非可換Lubin-Tate理論 / Lubin-Tate空間 / アフィノイド部分空間 / 正則超尖点表現 / 本質的馴超尖点表現 / 本質的従順局所Langlands対応 |
研究開始時の研究の概要 |
局所ラングランズ対応とは,「局所体のガロア表現」などの整数論的対象と「簡約群の既約平滑表現」という表現論的対象を結びつける,一般には未解決な予想である.様子の異なる2つの世界を関連づける意外な予想で,その大域版と相まって,様々な角度から活発に研究されている現象だといえる. 本研究では,既に定理として確立している,局所体が「非アルキメデス的」で簡約群が「一般線型群」の場合に,局所ラングランズ対応を幾何的に構成するルビン・テイト空間を従来より詳しく調べる.先行研究を基に,ある程度広いクラスの表現(本質的従順表現)に対して,それと直接に関連する部分空間を見つけ,そのわかりやすい表示を得ることを目指す.
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研究実績の概要 |
非可換Lubin-Tate理論によると,GL(n, F)の局所Langlands対応と局所Jacquet-Langlands対応はLubin-Tate空間の射影系のl進コホモロジーに実現される.私の以前の研究とその先行研究では,Lubin-Tateパーフェクトイド空間(射影系の極限)のアフィノイド部分空間が構成され,形式モデルの還元のコホモロジーがあるクラスの表現に対して2つの対応を実現することが示されていた.本研究のはじめの目標は,これらの研究を別のクラスの表現に対して拡張することであった. 今年度はこの目標のある場合に取り組んだ.具体的には,これまでの研究の表現のクラスは不分岐または完全馴分岐なn次拡大体と関係していたが,これを一般の馴分岐拡大体に拡張することを目指した.そのためにまずは,不分岐な場合,完全馴分岐な場合の研究(前者はBoyarchenko-Weinstein,後者は私自身による)の還元の計算をあらためて検討して,前者の計算を後者の計算に近い形で再解釈しようとした.しかし,当初の想定より難しく,この再解釈がまだ完成させられていない. もう少しだけ詳細を説明する.Lubin-Tateパーフェクトイド空間は,ある具体的な整モデルを持ち(Weinsteinの結果),アフィノイド部分空間は,その座標を適切にとりかえて,付値に条件をつけることで定義される.整モデルの関数環は,大体,n変数形式べき級数環を1つの定義方程式で割ったような形をしているが,還元の計算は,座標をとりかえたときに定義方程式がどう表されるか,付値に条件をつけたときにどの項が主要項になるかを調べることに帰着される.不分岐な場合のアフィノイド部分空間の定義に使われた座標によって,一般化に適した形で定義方程式を表示しようとしているが,この部分で難航している.定義方程式に現れる,行列式と類似したべき級数の性質を詳しく調べることが鍵になりそうである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,初年度のうちに「研究実績の概要」で述べたような既存の研究の再解釈は終えて,これまでに扱われていなかったクラスの表現に拡張する研究にとりかかっている予定だったが,実際には,再解釈の部分すらまだ終えられていないから.
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今後の研究の推進方策 |
既存の研究の再解釈が想定より難しかったものの,少しずつ着実に理解は深まっているので,引き続き,この方針で研究を進める. また,情報収集や他の研究者との研究討論のために昨年度より出張を増やす.
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