研究課題/領域番号 |
19K14514
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉川 祥 学習院大学, 理学部, 研究員 (10803736)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 楕円曲線 / モジュラー曲線 / モジュラー形式 / 岩澤理論 / ヒルベルトモジュラー形式 / ガロア表現 / 有理点 / 保型表現 / ガロワ表現 / Galois表現 / Langlands対応 |
研究開始時の研究の概要 |
およそ25年前、WilesはR=Tという新しい手法を創始し、楕円曲線という幾何的対象と保型形式という解析的対象とを結びつける「志村谷山予想」(の大部分)を証明した。その帰結としてフェルマーの最終定理が証明された。もともとの志村谷山予想は係数が「有理数の」楕円曲線や保型形式の間の対応だったが、楕円曲線や保型形式をより一般の係数で考えるとどうだろうか。この場合にも対応が期待されるが、Wilesの手法が(ただちには)適用できない場合が多く現れる。そのような困難な場合にも対応を証明することが本研究の主目的である。
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研究実績の概要 |
2022年度も引き続き楕円曲線の保型性(すなわち、楕円曲線のL関数が、あるクラスのモジュラー形式や保型表現に付随するL関数と一致するという性質)に関する研究を行った。特に、Fを実二次体Kの円分Z_p拡大の部分体とした場合に、F上の楕円曲線が保型性を持つかどうかを考察した。より具体的には、Kとpに関して明示的な条件を与え、その条件が満たされるならば、上記のような任意のFに対してF上のすべての楕円曲線が保型的であることを導いた。 このようなFは有理数体の総実アーベル拡大である。有理数体の総実アーベル拡大上の楕円曲線の保型性は私自身が以前研究していたが、今回の結果により、以前の成果では取り扱えなかった一部のFについてもF上の楕円曲線の保型性を導くことが出来た。 Fが有理数体の円分Z_p拡大に含まれる場合、F上の楕円曲線の保型性はJack Thorne氏によって既に証明されていた。このThorne氏の結果を踏まえ、Xinyao Zhang氏(東京大学)はFが実二次体の円分Z_p拡大の場合を考察し、部分的な結果を得ている。上記の私の実績は、Zhang氏の結果を踏まえて得られたもので、氏の結果を拡張するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひとつのまとまった結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
実二次体の場合を越えて、巡回三次拡大の場合も研究していく。また、楕円曲線の保型性を離れ、保型形式のp進族(eigenvarieties)やp進表現のモジュライ(Emerton-Gee stacks)の研究にも参入していきたい。
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