研究課題/領域番号 |
19K14557
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
杉山 登志 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10835614)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 複素1変数多項式のモジュライ空間 / モニックかつ中心的な複素1変数多項式 / 固定点重複度 / multiplier / 正則指数 / 被覆次数 / 包除原理 / 複素力学系 / モジュライ空間 / 周期点 / 交叉理論 |
研究開始時の研究の概要 |
自己正則写像を反復合成したときの挙動を研究する複素力学系の理論において,近年,力学系のモジュライ空間(自己正則写像の族,パラメータ空間)の構造そのものに着目した研究も行われている。本研究では特に,1変数複素力学系において基本的な量である周期点における multiplier(微分係数)を用いて,1変数複素力学系におけるモジュライ空間の構造を調べる。特に,固定点における multiplier の値を全て指定したときに,それらを実現するような複素力学系がどの程度存在するのかを詳細に調べる。
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研究実績の概要 |
複素1変数の自己正則写像の固定点において,multiplier(乗数,微分係数)を少し拡張した概念である「正則指数」,および重複度が定義される。全ての固定点における重複度と正則指数の組の集まりを与えたときに,それを実現する複素1変数多項式のアファイン共役類がどれだけあるのかを調べる研究を行っている。複素1変数多項式が重複固定点を持たない(すなわち,全ての固定点における重複度が1の)ときには,この問題は既に解決済みであり,重複固定点を持つ(すなわち,少なくとも1つの固定点における重複度が2以上の)場合にはこの問題を解決することが飛躍的に難しくなることは既に分かっていた。重複固定点を持つ場合において,全ての固定点における重複度の集まりを固定するごとに,genericな重複度と正則指数の組の集まりに対するこの個数を,2019年度中に求めることができ,2020年度にはこの結果を論文に纏めて投稿した。また,この結果から「generic」を外すことは,ただ1つの重複固定点を持つ場合には既にできていたが,重複固定点の個数が2個以上の場合にはまだできていない。しかし,2020年度中に,このことについて,結果の予想を定式化できているので,当面は,定式化した式を証明することを目標としている。この予想を証明する手段として,重み付き射影空間で考える,かなり複雑な行列を巧妙に扱う,のいずれかを考えている。また,定式化されたものをarrangementの分野から見て何等かの形で解釈し直すことができそうであり,それが何であるのかも探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に伴い,約2年ほど研究の進展が遅れた。2022年度は,投稿中であった論文1本がオンライン版で掲載された。今年度の途中に,紙媒体で出版される予定である。この論文では,重複固定点を持たない場合において,条件を満たすアファイン共役類の個数を求めるアルゴリズムから,個数を明示的に与える公式を導いた。 重複固定点を持つ場合におけるgenericな結果は論文にまとまっている。また,この結果から「generic」を外した詳細な構造についての予想を定式化することもできている。こちらを証明する手段を研究中である。
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今後の研究の推進方策 |
2個以上の重複固定点を持つ場合におけるgenericでない詳細な結果について,予想は立っているので,その証明を得ることを目標に,研究を続ける。それと並行して,パラメータ空間やモジュライ空間のコンパクト化に適切な複素構造を入れる,固定点にマークを付けた空間でどのような構造になっているのかを調べる,既に得られた結果をarrangementの分野から見て解釈し直すことによりどのような定式化が可能であるのかを調べる,などを行う予定。
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