研究課題/領域番号 |
19K14561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田中 亮太朗 東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 准教授 (90826463)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | バナッハ空間 / Birkhoff-James直交性 / 幾何学的構造空間 / 非線形同型 / 非線形分類 / バナッハ加群 / Birkhoff直交性 / 強Birkhoff直交性 / 強Birkhoff-James直交性 / リプシッツ収縮写像 / バナッハ空間論 / バナッハ空間の幾何学 / 非線形解析学 |
研究開始時の研究の概要 |
バナッハ空間論では、線形同型のみならず、距離構造や格子構造等に関する非線形な同型の研究も盛んに行われており、例えば、回帰性やラドン=ニコディム性が非線形なリプシッツ同型によって移りあうことなどが知られている。 本研究では、バナッハ空間の種々の(非線形)構造間の相互作用を精査し、バナッハ空間の性質を「非線形同型による保存可能性」という観点から研究することで、バナッハ空間の分類の更なる精密化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、バナッハ空間が内包する種々の非線形構造とそれらを保存する写像の解析を通して、各構造が空間全体に及ぼす影響を明らかにするとともに、その結果に基づいて、バナッハ空間の分類理論の精密化を行う。2023年度は、2022年度までに得られたバナッハ空間の幾何構造に関する結果を発展させ、次の成果を得た。 (1)2022年度の成果として報告した「バナッハ空間の幾何学的構造空間」の概念を用いて、一様環のショケ境界に幾何的な特徴付けを与えるとともに、ショケ境界が閉であるような真部分一様環が連続関数環とBirkhoff-James直交性に関して同型とならないことを示した。また、一様環のペアで、同相な幾何学的構造空間を持つが、バナッハ空間として(反)同型でないようなものの例を与えた。 (2)C*環の幾何学的構造空間を明らかにした。さらに、C*環が可換であるとき、またそのときに限って、幾何学的構造が位相化可能であることを示した。幾何学的構造空間はすべてのバナッハ空間において定義されることから、これは、純粋にバナッハ空間論的な設定のもとでの、C*環の可換性の特徴付けを与える。 (3)特殊な連続関数環とその部分空間を用いることで、実バナッハ空間のペアで、同相な幾何学的構造空間を持つが、バナッハ空間として同型でないようなものの例を与えた。これと(1)における結果から、バナッハ空間の幾何学的構造空間による分類は、通常の同型による分類とは本質的に異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、2022年度から継続しているバナッハ空間の幾何的分類の研究において、理論の基礎を固めるような成果が得られた。また、関連する国際共同研究も継続中であり、いくつかの研究成果を論文として投稿中である。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の推進方策に記載したp乗可積分関数空間の幾何的分類には大きな進展があった。また、国外の研究グループによる類似の理論との融合についても、一定の成果が得られている。今後は、C*環等の重要なバナッハ空間のクラスにおいて、幾何的分類理論を一層深化させる。さらに、本研究課題の完了に向けて、現在得られている研究成果を論文として出版するとともに、これまでの成果を研究集会等でも発表し、本研究により確立された理論の存在感を高めたい。
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