研究課題/領域番号 |
19K14563
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
野瀬 敏洋 福岡工業大学, 工学部, 助教 (90637993)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 局所ゼータ関数 / 解析接続 / 漸近解析 / 無限階微分可能関数 / 平坦関数 / ニュートン多面体 / トーリック・ブローアップ / 振動積分 / トーリック・プロ―アップ / 無限回微分可能関数 |
研究開始時の研究の概要 |
関数が実解析的である場合には,特異点解消により,その関数を局所的に単項式で表すことができる.なおかつある種の非退化の条件の下では,関数の複雑な退化の情報がその局所表示の中に現れるように特異点解消を構成できる.本研究では,実解析性を仮定しない(無限回微分可能な)滑らかな関数に関する同様の局所表示について研究を行う.また,その局所表示を用いて調和解析における種々の問題において滑らかな関数の場合に関する解析を行う.本研究を通して,滑らかな関数と実解析的関数の,解析的な取り扱いにおける違いが明らかになると期待される.
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研究実績の概要 |
2022年度は局所ゼータ関数について研究を行った。局所ゼータ関数は無限階微分可能実数値関数を用いて右半平面上定義される複素正則関数であり、その有理型解析接続可能な領域や特異点での振る舞いについて調べた。特に、無限階微分可能関数の「モデル」に属する特別な実2変数関数によって定義される2次元局所ゼータ関数について、その特異点での振る舞いを詳細に調べた。ここで無限階微分可能関数のモデルとは単項式と平坦な関数の和で表されるような関数である。実解析的関数の場合は広中の特異点解消により単項式の場合が本質的に重要であったため、このモデルの重要性も同様に示唆されるが、実際に九州大学の神本氏により、実2変数の平坦でない無限階微分可能関数は局所的に上記のモデルで表示されることが示されている。 前年度、2変数無限階微分可能関数のモデルにおける単項式の次数が等しい場合に、局所ゼータ関数の極でない特異性を取り出すことができたのだが、その特異性については上からと下からの評価によるものであった。2022年度ではこのような場合の特別な無限階微分可能関数に対して局所ゼータ関数の特異点におけるさらに精密な漸近挙動を得ることができ、極以外の特異性が漸近展開の中の対数項として見いだされた。その結果、その特異点を越えるような有理型解析接続が不可能であることが分かった。先行研究において有理型解析接続可能な領域の大きさを測るために定義した量があるのだが、モデルの場合の下からの評価については既に得られており、この結果を用いることでモデルのほとんどすべての場合でその評価が最良であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究のテーマに関する研究結果をいくつか得ることができている。一方、2020年度において新型コロナウイルス禍により所属研究機関での遠隔講義の実施に伴い教育負担が増加し研究時間が減少したため、進捗状況がやや遅れていた。その影響が現在まで続いている。
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今後の研究の推進方策 |
2変数無限階微分可能関数のモデルに対して、局所ゼータ関数の解析をさらに進めたい。より高次元での局所ゼータ関数の解析接続についても調べる。無限階微分可能関数に対してトーリック・ブローアップを用いることでうまく局所表示することを試み、詳しい解析を行いたい。また、振動積分の漸近解析をはじめとする、対応した種々の問題への応用を考える。多変数関数論におけるベルグマン核の境界挙動などへの応用についても検討したい。 なお、これまでに得られた研究成果については論文として未発表のものがあり、現在は研究と論文の執筆作業を同時進行させている。
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