研究課題/領域番号 |
19K14564
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浜向 直 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70749754)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 粘性解 / ガウス曲率流方程式 / 完全非線形楕円型方程式 / 比較定理 / ハミルトン・ヤコビ方程式 / 勾配評価 / 完全非線形放物型方程式 / 平均曲率流方程式 / 動的境界値問題 / 決定論的ゲーム / 界面発展方程式 / 動的境界条件 |
研究開始時の研究の概要 |
平均曲率流方程式に代表される特異性を持つ界面発展方程式に対し、動的境界条件を課した問題、また不連続外力を持つ問題・不連続解が期待される問題など、不連続性を伴う問題の数学解析を行います。粘性解の一意性を導くための比較定理が、研究の柱の一つとなります。また、最適制御理論やゲーム理論に基づいた解の表現公式の確立も目指し、さらにそれを用いて凸性などの解の形状や、解の長時間挙動などの諸性質も調べます。
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研究実績の概要 |
非線形放物型偏微分方程式の初期値問題や、その解の定常状態を記述する非線形楕円型方程式の境界値問題の数学解析が主な研究内容である。典型的な方程式として、形の動きを記述する様々な界面発展方程式を考える。微分方程式の弱解の一つである粘性解の理論に基づいて、一意可解性や解の挙動といった諸性質を調べることが目的である。 令和4年度は、次のことを研究した。 (1)石の摩耗過程を記述する非局所ガウス曲率流方程式の解の待ち時間効果:海底や川底を転がる石の形状が、どのように変化するかという問題を考える。石が非凸な場合、この現象を記述する非局所ガウス曲率流方程式が石井-三上(2001,2004)によって導入され、粘性解の一意存在性が確立されている。本研究ではその解の挙動について調べた。特に、直観的に正しいと思われる、石のへこんだ部分はしばらく削れない、すなわち解の待ち時間効果が起きるという事実を、粘性解の比較定理と安定性、および凸解析のいくつかの定理を応用して証明した。本研究は、髙橋怜甫氏との共同研究である。 (2)非線形楕円型固有値問題の固有値の下からの評価:有界凸領域における楕円型固有値問題を、斉次ディリクレ境界条件の下で考える。この境界値問題の固有値に対する下からの評価を導いた。固有値評価の鍵となったのは、対数凹関数に対するGagliardo-Nirenberg型の不等式である。まずこの不等式を、対数凹関数のエントロピーを評価する方法で導いた。その導出のために、対数型ソボレフの不等式を用いた。そして境界値問題の(粘性)解に対して、領域上で適当な部分積分をした後にこのGagliardo-Nirenberg型の不等式を用いることで、固有値の評価を導いた。本研究は、藤田安啓氏、五十嵐蓮氏との共同研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の点において、一定の成果が得られたと判断したため、おおむね順調な進展とした。 (1)の石の摩耗過程の問題に関して:解の待ち時間効果は、石の初期形状の接触集合を除いた部分で必ず起きるとは限らない。そのため、待ち時間効果が起きる適切な部分集合を特定する必要があった。研究の当初、石の初期形状の内点では待ち時間効果が起きることは分かった。しかし、内点でなくても待ち時間効果が起きる例が構成できたため、この結果には改良の余地があった。さらに議論を重ねたところ、待ち時間効果が起きるより一般的な集合を特定でき、結果を精密化することができた。 (2)の非線形楕円型固有値問題に関して:偏微分作用素として、当初はプッチ作用素のみを扱っていたが、議論を重ねたところ、適当な構造を持つ一様楕円かつ凸な完全非線形作用素に対しても、固有値評価を導くことができた。さらに、この一様楕円型作用素の場合と類似の手法により、pラプラス作用素の固有値評価が得られることも明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)の待ち時間の問題では、方程式として非局所ガウス曲率流方程式を考えたが、待ち時間効果が起きることの証明では、この方程式の構造を決定的な形では用いなかった。そのため、より一般の界面発展方程式の解に対しても成り立つことが期待できる。ただし、本研究で扱ったような非局所項を含む方程式については、ガウス曲率流方程式を除いては解の一意存在性や安定性が確立されていないので、まずはそれらの基礎的な部分について検討が必要である。 (2)の固有値問題に関しては、得られた固有値評価と、先行研究との比較を今後検討する。またGagliardo-Nirenberg型の不等式について、関数に対数凹性を課さない場合の反例や、得られた定数の最良性の議論もしたい。
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