研究課題/領域番号 |
19K14610
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 電気通信大学 (2020) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
田島 裕康 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (60757897)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 量子情報理論 / 保存則 / コヒーレンス / リソース理論 / 熱力学 / 量子熱機関 |
研究開始時の研究の概要 |
リソース理論は量子情報理論における最重要理論の一つであるエンタングルメントの理論を拡張した理論体系である。 このリソース理論で最近着目されているのが Resource theory of asymmetryと呼ばれる理論分野である。この分野では「保存則を満たす操作」と「リソースとして『消費』できる状態」の組み合わせによって、「保存則を破る操作」をどの程度実装できるかを考える。本研究計画では、申請者らの最近の結果(Tajima et.al. PRL 2018)を発展させ、「実装される操作による保存則の破れの度合い」と「必要なリソースの量」の間に普遍的に成立するトレードオフを導く理論を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、保存則を扱うリソース理論であるresource theory of asymmetryを用いて、保存則を満たす操作と、リソースとして消費できる状態の組み合わせによって、保存則を破る操作をどの程度実装できるか、実装する際の必要なリソース量はどのくらいかを解析することを目標としている。研究の目標は大きく分けて二つある。 1.既存の「必要リソース量と実装誤差」についての様々なトレードオフを体系的にまとめる理論を構築すること 2. 1で構築した理論を用いて、いまだそうしたトレードオフが見出されていない対象に対し、新規なトレードオフを与えること 2020年度は、これら2目標の両方について非常に大きな進展があった。第一に、ユニタリー操作を実装する際の誤差とコストのトレードオフについての論文を出版した。第二に、第一の結果を含む、非常に広い範囲の「必要リソースと実装誤差」の間のトレードオフ関係を系統的に導く定理を実際に構築することに成功した(論文投稿中)。この定理は、ユニタリー実装についての前述の結果や、フォールトトレラント量子計算における重要定理であるEastin-Knill定理をコロラリーとして与える。すなわち、1で目標にしている体系的な理論の構築がかなりの程度まで進んだ。この定理はさらに2にも重要な寄与を与える。ブラックホール情報パラドックスを考える上での有力なモデルであるHayden-Preskill modelが、保存則を考えるとこれまで予言されてきた振る舞いと大きく異なる振る舞いをすることを厳密に証明した。 さらに、2のそのほかの貢献として、解放量子系において一般にコヒーレンスがエネルギー流にどのような影響を与えるかについての明瞭な基準を与え、コヒーレンスが十分に多いとき、エネルギー流が散逸なしで流れる振る舞いを見せることを示した(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
概要部分で述べたように、非常に巨大な進展があった。大目標として掲げた「既存のトレードオフの統一」、「新規なトレードオフの発見」をそれぞれ行うことができた。既に、ユニタリー操作、フォールトトレラント量子計算、ブラックホールなどを一括で対象とする理論を構築し、さらに解放量子系の上でのコヒーレンスの影響などを統一的に解析できる定理を与えることができている。これは当初の計画を超える進展度合いであり、したがって区分は(1)の、当初の計画以上に進展している、がふさわしいと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上で述べた通り、現時点で非常に広範な対象を一括に扱う理論が構築されつつある。しかし、いまだこれは完成ではない。例えば2019年度に与えた「測定の誤差とコストのトレードオフ」関係は、今年度出版された「ユニタリー操作の誤差とコストのトレードオフ」と非常に類似した形をしているが、これはいまだ統一されていない。熱力学的なコヒーレンスの影響を調べた結果についても同様である。これらをすべて統一的に扱う単一の定理を与えることが第一の目標である。このほか、物性物理や重力などへの応用も、これまで以上に積極的に考察していく価値があると考えられる
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