研究課題/領域番号 |
19K14614
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江端 宏之 九州大学, 理学研究院, 助教 (90723213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 粉粒体 / パターン形成 / 相分離 / 非平衡散逸系 |
研究開始時の研究の概要 |
外界からのエネルギー流入と内部でのエネルギー散逸が絶えず起こる非平衡散逸系では、熱平衡系では見られない時空間構造を形成することが出来る。熱揺らぎの影響を受けない散逸粒子の集合である粉粒体では、異なる種類の粒子は機械的駆動力により相分離し、動的秩序を形成することがある。この時、粒子が持つ散逸の強さの違いが、分離と構造形成の実現に重要であると考えられている。しかし、粉粒体の混合・分離を一般的に予測するために必要な物理量は未だ不明である。本研究では、粉粒体の分離現象の非侵襲な内部測定、粉粒体のレオロジー測定、分離界面のモデルに基づき、粉粒体の混合・分離を決める本質的な物理量を定義することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では新規に構築した擬二次元容器の水平加振実験系を用い、粉粒体の相分離による構造形成のメカニズムの解明を目指した。新規実験系において、回転ドラムと同様のバンド形成現象に加え、自己複製パターンを発見した。自己複製パターンは粉粒体の相分離現象では初めての報告である。また、使用している粉体の流動性を測定した結果、複雑な相分離パターンの出現には流動性に強いヒステリシスを持つ必要があることが分かった。実験から得られた結果に基づき、相分離と粉体層表面の流動、粉体の流動性を考慮した数理モデルを提案した。これにより、相分離パターンの分岐などの実験結果を再現することが出来た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
異なる種類の粉体粒子は機械的駆動力により相分離することがある。しかし、粉体層内部の相分離の経時変化の測定が難しいことから、分離現象のメカニズムは解明されておらず、混合・分離を予測するために必要な物理量は分かっていなかった。本研究では、粉体層内部の相分離の時間発展を直接観察できる実験系を構築した。新規実験系を用いることで、表面流により駆動される相分離パターンは、サイズ分離現象・表面流・流動性のヒステリシスが相互に影響することで駆動されることを示した。回転ドラムにおけるバンド形成においても同様のメカニズムが存在する可能性があり、粉粒体の一般的な相分離現象のメカニズム解明に寄与する知見が得られた。
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