研究課題/領域番号 |
19K14628
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
|
研究機関 | 東京工業大学 (2022) 名古屋大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
藤本 和也 東京工業大学, 理学院, 助教 (40838059)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 動的スケーリング則 / 界面成長 / ボース・アインシュタイン凝縮体 / 界面粗さ成長 / 動的スケーリング / ランダム行列 / 量子ダイナミクス / 開放量子系 / フロケ定理 / Family-Vicsekスケーリング / Lindblad方程式 / 冷却原子気体 / 粗視化ダイナミクス / 熱平衡化 / 乱流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、冷却原子気体を舞台として孤立量子系の熱平衡化ダイナミクスの普遍性を明らかにすることを目的とする。具体的には、粗視化ダイナミクスを基軸に(1)周期外力場中のスピナーBose気体の緩和現象と(2)1成分Bose気体における乱流減衰を解析・数値的に研究する。研究(1)では、フロケエンジアリングの手法をスピナーBose気体に適用することで、有効ハミルトニアンを導出して、その緩和現象を理論的に調べる。研究(2)では、平均場方程式の数値計算とくりこみ群に基づく計算を行い、乱流減衰の普遍性を明らかにする。また、本研究(2)は国外の実験グループとの共同研究であり、得られた理論結果を実験と比較する。
|
研究成果の概要 |
冷却原子系における緩和現象を量子力学を用いて理論的に研究して、量子ダイナミクスの背後に潜む普遍的な性質を研究した。本研究課題のキーワードは動的スケーリング則である。これは非平衡ダイナミクスにおいて時間変化する物理量の相関関数などに現れるスケーリング則であり、系の普遍的な性質を理解する上で重要な役割を果たす。研究期間中に、1次元量子系の界面粗さ成長、多成分ボース・アインシュタイン凝縮体におけるドメイン成長などで動的スケーリング則を数値計算と解析計算で明らかにした。特に、界面粗さ成長の研究では界面高さ演算子を初めて導入して、その1次元量子ダイナミクスを調べた先駆的な研究成果を得た。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
時間とともに変化する非平衡現象は、これまで多くの研究が行われており、いまなお新しい発見がある。とりわけ、量子力学で記述される系の非平衡現象を理解することは、現代物理学における難問の一つと認識されており、その解明は基礎科学、工学的な応用の両視点から極めて重要である。本研究課題では、冷却原子系の実験を想定した理論モデルを用いて、量子ダイナミクスに現れる動的スケーリング則の普遍性の一端を理論的に発見できた点に学術的な意義がある。本研究は理論的な結果が中心であったが、本成果が量子ダイナミクスの理解を深めるための今後の実験検証の一つの足がかりになると期待される。
|