研究課題/領域番号 |
19K14630
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
秦 徳郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (30825005)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 量子アンチドット / 整数量子ホール効果 / 分数量子ホール効果 |
研究開始時の研究の概要 |
極めてクリーンな二次元電子系に強磁場を印加すると、分数電荷を準粒子に持つ分数量子ホール効果が現れる。その大きな特徴は、準粒子がエニオン統計で記述されることである。その中でも、非可換な統計性を持つ準粒子を操作することで、従来の量子コンピュータとは異なる仕組みを持つトポロジカル量子コンピュータの実現が近年期待されている。 本研究はその実現に向けた礎を築く実験を行う。具体的には、分数電荷準粒子が閉じ込められた量子アンチドットを二つ実現する。そして、アンチドット間における分数電荷準粒子のコヒーレントな輸送を、電流ゆらぎ測定や粒子数検出などといった技術を用いて実証する。
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研究実績の概要 |
前年度に実験及び解析を行った整数量子ホール領域における二重量子アンチドット研究に関して、解析を進めて最終的に論文を執筆し投稿した。本研究は、量子アンチドット間の有効トンネル結合を広範囲に制御することに成功した最初の実験である。
並行して、分数量子ホール領域における量子アンチドットの実験を行うための試料を作製した。本実験の目的は、占有率2/3の分数量子ホール領域において、単一の量子アンチドットを形成し、ゼロ次元的に閉じ込められた単一の分数電荷を制御することである。アンチドット構造を形成するためにエアブリッジ構造のゲート電極を使用するが、以前はブリッジ作製後の工程で使用するレジストの影響で、ブリッジがたわむ問題が生じていた。そこで、使用するレジストの種類を変えることで、この問題の解決を試みた。その結果、非常に歩留まりよくエアブリッジゲートを作製することに成功した。この知見をもとに、分数量子ホール効果が発現するような高い移動度を持つ二次元電子系基板に、エアブリッジゲートおよびサイドゲートを作製した。アンチドット構造は直径300nmである。自身にとって分数量子ホール領域での量子アンチドットの実験は初めてであるため、エアブリッジゲートとサイドゲートの距離やブリッジ長が異なる様々なデザインの試料を基板上に作製した。
予備実験として1.5 Kにおいてブリッジゲートおよびサイドゲートが所望のとおりに動作していることを確認した。また作製した様々なデザインの特性を調べることで、占有率2/3の分数量子ホール領域で量子アンチドットを形成するのに適当なデザインを選んだ。現在は、選んだ試料を希釈冷凍機温度にて測定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた、前年度までの整数量子ホール系における二重量子アンチドットの実験結果を論文にまとめて投稿をした。
また、分数量子ホール効果が発現するような高い移動度を持つ二次元電子系基板に、量子アンチドットの形成とその特性評価に必要なエアブリッジゲートおよびサイドゲートを作製した。しかし、ブリッジ作製後の工程で使用するレジストの影響で、ブリッジがたわむ問題が生じた。そこで、使用するレジストの種類を変えることでこの問題を解決したが、解決に時間を要したため、進捗はやや遅れていると評価した。
予備実験として1.5 Kにおいてブリッジゲートおよびサイドゲートが所望のとおりに動作していることを確認し、現在、希釈冷凍機温度にて測定中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、測定中である分数量子ホール系における単一の量子アンチドットの実験を行い、単一の分数電荷の制御を実証する。
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