研究課題
若手研究
高い集積性を有する量子計算機としての可能性が着目されている半導体量子ドット中の電子スピン系では、複数の電子スピンによる様々なサブレベルを量子ビットとして用いることができる。中でも、高い制御性を誇る単一スピン量子ビットと検出に優れる一重項-三重項量子ビットを結合した異種スピン量子ビット複合系は、両方式の利点を融合した効率的なスピン量子計算が可能となる。本研究では、コヒーレンスに優れるシリコン量子ドットで高性能な異種スピン量子ビット複合系を実現し、スピン量子計算の可能性を飛躍的に広げることを目指す。
初めに、量子ビットとしてよく動作する、高安定かつ操作性の高いシリコン量子ドット試料を再現性良く作製するための技術開発を行った。作製した試料において、当初の計画に沿って単一スピン量子ビットでの高忠実操作および一重項-三重項量子ビットとしての動作原理検証を行った。次に、2つの単一スピン量子ビット間の2量子ビット操作の高性能化に取り組んだ。最適な試料設計に基づいた操作の高速化によって、2量子ビット操作忠実度を改善するとともに、新しい量子ビット間の結合の制御方法を開発し、結合のオンオフ比を大幅に改善した。
シリコンスピン量子コンピュータでは、量子ビットの種類、2量子ビット操作の実装手法など基本動作においても複数の候補があり、その優位性はいまだ決まっていない。本研究では、異種スピン量子ビット複合系の実現可能性や既存の2量子ビット操作手法における高忠実操作の実現、およびより拡張性に優れる新しい2量子ビット操作手法の開発を行うことで、各手法の性能や相性を明らかにし、今後のシリコンスピン量子コンピュータの開発方針に指針を与えた。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 8件)
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