研究課題/領域番号 |
19K14644
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉本 高大 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70756072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 励起子相 / 強相関電子系 / 数値計算 / 有限温度 / 光誘起相転移 / 非平衡ダイナミクス / 拡張ハバード模型 / 高次高調波発生 / 光学伝導度 / テンソルネットワーク / シュタルク効果 / 共鳴非弾性X線散乱 / ルテニウム酸化物 / 励起子絶縁体 / 遷移金属化合物 / 時間依存ランチョス法 / 行列積状態 / ハバード模型 / 測定誘起相転移 / クラスター平均場近似 / スピン流 / 変分クラスター法 / 熱的純粋量子状態 / 遷移金属酸化物 / 非平衡 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体または半金属において、クーロン引力により伝導電子帯を構成する軌道の電子と価電子帯を構成する軌道の正孔が自発的に対形成して基底状態でボーズ凝縮を起こした状態を励起子相と呼ぶ。近年になってTa2NiSe5やある種のコバルト酸化物などの候補物質が提唱され、現在、世界中で爆発的に研究が進展している。 特に遷移金属化合物で発現する励起子相は、強い軌道間相互作用が系の本質である。本研究では平均場近似から出発する摂動論的方法と、少数サイトの大規模数値対角化に基づく手法を併用することで、有限温度および非平衡状態における強相関励起子相の物理を明らかにする。
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研究成果の概要 |
半金属または半導体において励起子が自発的に形成され、ボース凝縮を起こした相を励起子相と呼ぶ。近年になっていくつかの候補物質が提案され、励起子相研究の新しい展開を迎えている。本研究では励起子相に対する物性研究を念頭に置き、広く強相関電子系の有限温度状態ならびに光誘起非平衡状態の理論的・数値的研究を行った。 有限温度計算においては変分クラスター法の有限温度への拡張や、クラスター平均場近似の励起子相への適用を行った。また、非平衡状態に関する研究では、引力および斥力ハバード模型の光誘起相転移の提案や、拡張ハバード模型の高次高調波における励起子の効果を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、有限温度計算により励起子相や反強磁性相といった自発的対称性の破れを伴う強相関電子系物質への理解が深まった。有限サイズ効果の問題により変分クラスター法を励起子相へ適用するには至らなかったものの、今後改善すればこの分野の大きな進展が期待される。加えて、非平衡ダイナミクスの研究を進め、数値シミュレーションを用いて強相関電子系に特有の光誘起相転移現象や高次高調波発生スペクトルを提唱した。これらは実験と直結する成果であり、その学術的意義は大きなものであると考えられる。
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