研究課題/領域番号 |
19K14647
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 健太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40835336)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 強相関電子系 / スピン軌道相互作用 / 金属絶縁体転移 / 磁気輸送現象 / 磁性 / トポロジカル電子状態 / 量子相転移 / トポロジカル物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、新奇トポロジカル電子相転移の発見とその制御に向けて、トポロジカル電子状態の発現可能性を指摘されているパイロクロア型イリジウム酸化物を中心に系統的な物質開拓を行い、その磁性・電子状態を電気輸送・熱電能・分光測定を用いて明らかにしていく。(1)物質合成と基礎物性測定により磁気・電子相図を作成する。(2)電子のトポロジカルな性質が如実に反映される輸送特性の非対角成分の測定や理論計算によりトポロジカル電子相について議論する。(3)分光測定や、圧力や磁場など外場による精密なパラメータ制御下での輸送測定により、トポロジカル相転移に伴う臨界現象の究明や巨大応答の開拓を行う。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、スピン軌道相互作用の大きい4d・5d電子系酸化物に着目し、強相関トポロジカル量子物性の開拓と機能制御を行った。パイロクロア型イリジウム酸化物においては、磁性ワイル半金属の実現可能性が理論的に議論されていた。近年では、磁気構造によって様々なトポロジカル電子相が現れることが知られていたが、電子相関の比較的小さい領域に限定されていた。本研究課題では、電子占有率を変化させることで、相関の強い領域でも、トポロジカルに非自明なバンド構造を持つ常磁性金属相が現れることを見出した。さらに、希土類磁気モーメントによってバンドのトポロジーを反映した特徴的な磁気輸送特性が発現することを突き止めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題で達成したのは、新しいトポロジカル電子相の発見と磁気輸送特性の評価である。トポロジカル電子状態とその機能の開拓は、非散逸流に代表されるように、基礎科学的にも応用の観点からも喫緊の課題である。研究代表者は、電子相関が本質的な役割を果たす酸化物において、化学圧力や外部磁場によって物理パラメータを精密に制御することで、金属絶縁体転移が生じることを突き止めた。さらに、相転移近傍において、ベリー曲率に起因した巨大なホール効果が生じることを見出した。以上の結果は、電子バンドのトポロジカルな性質が、外場で制御できる可能性を示唆しており、従来のトポロジカル物性とは一線を画す結果となった。
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