研究課題/領域番号 |
19K14650
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
諏訪 秀麿 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60735926)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 励起子絶縁体 / 励起子 / 反強磁性 / イリジウム酸化物 / スピン軌道結合 / 電子相関 / 励起子凝縮 / スピン軌道相互作用 / スピン軌道絶縁体 / 5d電子系 / スレーター・モットクロスオーバー / ダイナミクス / ハートリーフォック / GPU / スレーターモットクロスオーバー |
研究開始時の研究の概要 |
高温超伝導などの多くのおもしろい物理現象では、3d軌道の電子が主役となっている。この舞台では、電子間の強いクーロン相互作用がおもしろさの原動力で、電荷と共にスピンの自由度が物性を左右する。一方、近年、5d軌道の電子が主役となる物質群が大きく注目されている。5d軌道では、電子間のクーロン相互作用とスピン軌道相互作用が競合し、電荷・スピン・軌道自由度が多彩な物理現象を織りなす。本研究では、新しい数値計算手法を開発することで、イリジウム酸化物などの5d電子の物性を解明する。また電気・磁気・光学応答を明らかにすることで、工学的な応用可能性を広げ、新しいエンジニアリングの基礎を築くことを目標とする。
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研究成果の概要 |
本研究は、電子間相互作用が強い極限と弱い極限の間の中間領域(スレーターモットクロスオーバー)に位置し、電荷・スピン・軌道自由度が複雑に絡み合う5d軌道電子系の物性現象を解明した。特に2層系イリジウム酸化物で、三重項励起子が凝縮し反強磁性秩序が生じる物理的機構を明らかにした。実験家との共同研究を行い、本研究で導かれた理論が実験結果を包括的に説明することを示した。このように励起子が凝縮することで絶縁体化した状態を励起子絶縁体と呼ぶ。本研究では、理論的に予言されてから半世紀以上見つかっていなかった反強磁性型の励起子絶縁体を初めて発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
長い間見つかっていなかった反強磁性型の励起子絶縁体の発見により、今後、三重項励起子の凝縮現象についてより詳細な実験的検証と操作が可能になる。本研究対象であるクロスオーバー領域は、物性物理学として興味深いだけでなく、非自明な現象が生じる温度が最大化されるため工学的応用の観点からも非常に重要である。本研究成果は、電子の電荷・スピン・軌道自由度が複雑に絡み合う物性現象の理学的解明と、将来的な量子マテリアルのデザインと工学的応用につながると期待される。
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