研究課題/領域番号 |
19K14652
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 英史 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50748473)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 熱電効果 / 強相関電子 / 強誘電体 / 超伝導 / 極性金属 / 磁性 / 遷移金属カルコゲナイド / 圧電効果 / 音響電気効果 / 強相関電子系 / 熱電材料 / トポロジカル物質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、固体の空間反転対称性の破れに起因した分極ゆらぎと伝導電子の相関に起因した新奇輸送現象の開拓を目指す。強誘電相転移点近傍では、結晶の空間反転対称性の破れに由来した分極のゆらぎや構造不安定性に関係したフォノンのソフト化が生じ、これにより特異な誘電特性が発現する。一方金属では、分極は伝導電子によって遮蔽されるが、そのゆらぎやソフトフォノンが伝導電子と相関が期待される。そこで本研究では分極ゆらぎやソフトフォノンと伝導電子との相関による高い熱電性能の実現とエキゾチック超伝導や新奇量子輸送現象及び新機能の開拓を目指し研究を行う。
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研究成果の概要 |
極性-非極性構造相転移を持つ半金属MoTe2は、低温において通常のバンド描像では説明できない特異な熱電効果を示す。さらに最近、構造相転移温度を圧力を用いて抑制することで、熱電性能が向上することを発見した。この、極性構造相転移の不安定性と熱電物性の相関を明らかにするため、単結晶を用いたラマン分光測定と放射光を用いた単結晶構造解析を行った。その結果、熱電性能が増大する低温で、ソフト化する極性フォノンと特異な原子位置の温度変化を観測した。このことから、極性フォノンの不安定性と熱電効果の相関が示唆された。また、極性構造不安定性を持つ新規物質の単結晶合成に成功し、元素置換による構造相転移の制御を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、低温で高い効率を示す熱電材料の物質探索とその起源解明を目指した。半金属材料MoTe2に注目し、低温での高い熱電性能と構造相転移との関係を調べるため、ラマン分光や放射光を用いた実験を行った。その結果、低温での構造の不安定化に伴い熱電性能が増大することを明らかにし、熱電性能向上の理論モデルの提案を行った。今後、本研究の結果に基づいたさらに高い性能を持つ熱電材料の開拓につながることが期待される。
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