研究課題
若手研究
本研究では反強磁性相から超伝導転移を起こすホールドープ型鉄系超伝導体Ba_{1-x}K_{x}Fe_{2}As_{2}に対する中性子散乱実験を駆使する事で、反強磁性と超伝導との共存域における新奇物性の解明を目指す。特にJ-PARCの先進的な非弾性分光装置を用いた測定を行い、従来の研究で見過ごされてきたスピン揺らぎの3次元的変調構造の観測を試み、超伝導-磁気秩序の共存域におけるスピン揺らぎと超伝導ギャップ構造の理解を目指す。
鉄系超伝導体における高温超伝導の発見は超伝導研究の新しい潮流を生み出したと言える.鉄系超伝導体で観測される特異な物性は,スピン,軌道,格子の自由度の相互作用によって生じる.このような複雑な相互作用がどのように鉄系超伝導体の特異な電子状態を生み出すのかは非常に興味深い課題である.本研究では,X線・中性子の非弾性分光技術を駆使することで,鉄系超伝導体のスピン・格子自由度の動的な側面に焦点を当てた研究を行った.その結果、(1)フォノン分散における磁性の寄与,(2)動的スピン帯磁率の3次元強度変調とフェルミ面ネスティングとの関連,(3)中性子散乱スペクトルに現れるマルチギャップの観測,を明らかにした.
鉄系超伝導体の諸物性を理解する上で,その磁性やフォノンの果たす役割を理解することは非常に重要である.本研究課題では,SPring-8とJ-PARCの最先端の分光技術を用いた物性計測を行うことで,鉄系超伝導体のスピン揺らぎ,フォノンに対する新しい知見が得られた.本研究に用いた手法は,銅酸化物や重い電子系等の他の物質の研究への拡張も可能であり,非従来型超伝導体の電子状態研究におけるX線・中性子分光法の適用領域を広げるものである.
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