研究課題/領域番号 |
19K14668
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京理科大学 (2020) 国立研究開発法人理化学研究所 (2019) |
研究代表者 |
南舘 孝亮 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 助教 (30825691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 分子性導体 / 超伝導 / モット絶縁体 / 異方的圧力効果 |
研究開始時の研究の概要 |
有機伝導体の物性研究において、超伝導を誘起する電子間引力の起源に興味が持たれ、超伝導相近傍の電子状態が調べられ、量子スピン液体相やValence Bond Order相などの特殊な電子状態と超伝導との関係も議論されてきた。本研究は近年実験技術が確立されてきた有機伝導体薄膜の持つ、分子性固体特有の圧力応答性の高さと、強相関性や低次元性に起因した固体としての多彩な電子状態を生かし、バルク結晶では実現不可能であった単一試料に対する二次元方向の圧力制御を行うことで、有機伝導体における超伝導のメカニズムとそれぞれの電子状態の関係性を明らかにすることを試みるものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、多彩な電子状態を示す有機伝導体に対して、薄膜化による異方的な圧力制御によって電子相関のジオメトリを二次元的に制御することで、有機伝導体にみられるスピン液体相、VBO相などの発現機構を明らかにし、付近の超伝導相のメカニズム解明を目指した。結果としてこれまで上記方法による物性制御が実現できていなかった物質において、実験条件を適切に整えることによって新たに超伝導相から絶縁相までの物性制御に成功し、圧力方向と超伝導相の発現の有無の関係を議論することができた。また、新たに薄片化による物性制御が効果的である物質を選定し、その物性を調べることで、非従来的な超伝導相が現れていることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で行った分子性導体についての電子状態の制御は、非従来型超伝導相やValence-Bond-Order非磁性状態など、発現機構が明確になっていない電子状態について、電子相関のジオメトリを自在に変化させることで、発現しやすい環境を議論し、その機構を解明することを目指すものであり、その手法として薄片に対する歪み圧力印加という新しい結晶制御法を確立するものである。これらの実現によって電子相関と電子状態の関係性をより深く理解しようとする物性物理の立場において知見を深めることにつながるものであり、また、超伝導などの実用上応用可能性の高い電子状態についても、応用の範囲を広げる可能性がある。
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