研究課題/領域番号 |
19K14669
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
松浦 慧介 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50824017)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 過冷却状態 / 温度掃引速度 / 相競合 / 急冷実験 / 磁化制御 / 強相関電子系 / マンガン酸化物 / 軌道自由度 / 非平衡状態 / 過冷却準安定状態 / 超巨大磁気抵抗効果 / 不揮発制御 / 磁化・磁気イメージング / 電気抵抗 / 非熱平衡状態 |
研究開始時の研究の概要 |
強相関電子物質では、電場、磁場、圧力、光、化学組成の制御を通じて、巨大な物性応答が発現する。近年、新たな電子相制御のパラメータとして、温度掃引速度が注目されている。電気や光レーザーパルスを用れば、通常の冷凍機の冷却速度をはるかに凌ぐ冷却速度が実現される。超急冷下では、熱平衡相図には存在しない、準安定状態が出現することが明らかになってきた。これまで電荷やスピン自由度を有する系で急冷下での準安定状態が発見されてきた。自然に拡張すれば、第三の電子内部自由度である軌道自由度においても急冷下で準安定状態が発現することが期待される。本研究では、軌道縮退系において、急冷により新奇な準安定状態を開拓する。
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研究成果の概要 |
強相関電子材料では、電場、磁場、圧力などの環境変数を制御することで、熱平衡相間の相転移現象を調べるのが一般的だ。しかし、温度掃引速度などの動力学的パラメータを系統的に制御した研究はこれまでなされていなかった。最近、いくつかの強相関電子系で、急冷による準安定状態の制御が報告されてきた。本研究では、超巨大磁気抵抗効果を示すマンガン酸化物を対象にして、どのような条件下で急冷下準安定状態が実現されるかを系統的に調べた。反強磁性絶縁体相と強磁性金属相の相境界近傍において、臨界冷却速度が4桁近く減少することを発見した。熱平衡相図は、非平衡なパラメータである冷却速度と密接に関係することを実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
急冷による準安定状態は、これまで水やガラス、鉄鋼材料など身近な物質においては盛んに研究されてきた。これらは原子レベルの配列に関する話だが、電子レベルでは未解明な点が多かった。これまで電子系においては、急冷下での過冷却準安定状態がどのような条件下で実現されるかは明らかではなく、発見的な物質探索となっていた。本研究課題を通じてその問いに対する答えの一つを提案できたと考えている。また、急冷と徐冷を用いた高速磁化制御などの技術につながることが期待される。
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