研究課題/領域番号 |
19K14676
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
島村 孝平 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (60772647)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 機械学習力場(原子間ポテンシャル) / 人工ニューラルネットワーク / 分子動力学法 / 第一原理分子動力学法 / 生命の起源 / 機械学習原子間ポテンシャル / 原子間ポテンシャル / 高速化 / 機械学習 / 力場(経験的原子間ポテンシャル) |
研究開始時の研究の概要 |
人工ニューラルネットワーク(ANN)力場は「ユーザ自身が利用の都度調整し直せる」というこれまでの力場の概念を覆しこのデータサイエンス時代に登場した新しい可能性である。正しく適用範囲を認識できていれば誰にでも使える強力な手法となる。ただ、多元系、特に複雑系である生命系への適用は手法が確立されていないためにまだ無い。そこで、我々は本課題で生命起源の重要問題への挑戦を掲げるとともに、多元系への適用手法の確立を目指して先陣を切る。このためにはANN力場の開発コードだけでなく教師データを作るための第一原理分子動力学計算コードにも精通している必要があるが、両方に対して十分な経験を持つ我々に一日の長がある。
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研究成果の概要 |
本研究では、深海熱水噴出孔環境のような極めて非平衡性の高い系に対しても、そこで起こる化学反応を微視的視点から調査できるよう、機械学習に基づいた力場構築方法の精錬を行った。非平衡性の高い系における化学反応の記述にはまだ改善の余地があるものの、役立つ多くの構築方法の知見を得た。原子に働く力及び圧力も学習することで分子動力学計算の精度を上げ、固液相転移の記述だけでなく、熱伝導度計算にも役立った。コスト関数の係数調整を行うことでさらに頑健な力場を構築できることも明らかにした。力場の原子エネルギーに潜む任意性に伴う力場の精度低下の可能性を示唆し、データ駆動的アプローチでの解決法を提案するに至った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
機械学習に基づく力場は低計算コストながら第一原理計算の精度を有するため、空間・時間スケールの観点でこれまで手が届かなかった領域へ我々を導く潜在力があり、物性分野においてフロンティアを開拓しつつある。それゆえ、潜在力をより物理的かつ実用的なレベルに押し上げるために、深海熱水噴出孔環境などの難易度の高い計算対象に取り組むことで、本研究では様々な重要な構築方法の要素を世に示せたと考えている。非平衡性の高い系に対するアプローチを完全に確立できたわけではないが、原子エネルギーという新たな視点から精度向上が期待できる手法を考案するなど、今後この分野に貢献する可能性のある成果も得られている。
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