研究課題
若手研究
電子サイクロトロン (EC) 波によるプラズマ加熱の高効率化と加熱位置制御は核融合炉実現に向けた必須課題である。本研究の学術的問いはEC加熱において従来無視してきた光の軌道角運動量が異方性媒質である磁化プラズマ中の伝搬にどのように作用するか、である。そこで本研究では光のスピン・軌道角運動量の相互作用によるEC波の伝搬軌道のズレを数値計算と実験で検証する。またこの新しい効果を考慮したEC入射による高効率加熱および高精度な加熱位置制御を実証する。
本研究は電子サイクロトロン(EC)加熱において、光の軌道角運動量が異方性媒質である磁化プラズマ中の伝搬にどのように影響するかを解明することを目的とした。得られた研究成果は次の通りである:(1) Berry曲率は波数がゼロになるときに発散的に増加するため、Xモードの場合には右手カットオフ層で反射する際に、横ずれの効果が現れた。(2) 螺旋波面が波動場に与える効果は、EC波の渦度が大きく、光軸から近いほど顕著であることが分かった。(3) 軌道角運動量を持つEC波を生成する螺旋位相ミラーを開発した。(4) 光渦伝送系を構築し、世界で初めて渦EC波によるプラズマ生成・加熱・維持を実証した。
学術的意義は、従来無視されてきた光の軌道角運動量がEC波の偏波と相互作用することで、異方的な誘電媒質である磁化プラズマ中の伝搬に与える影響が明らかにされてきたということである。社会的意義は、高密度領域に伝搬可能と示唆される渦EC波によるプラズマ加熱の高効率化を理論的・実験的に検証していくことが核融合炉実現へ向けて貢献することである。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 11件、 招待講演 5件)
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