研究課題/領域番号 |
19K14703
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
杉山 尚徳 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (70728360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 宇宙論 / 宇宙大規模構造 / ダークマター / 銀河三点相関関数 / ダークエネルギー / 三点相関関数 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の存在する宇宙は、どのように始まり、どのような物質を含み、そして現在までどのように進化してきたのだろうか?」宇宙論とは、このような人類誕生以来、我々が持ち続ける宇宙に関する最も根元的な問を真っ向から検証することを目的とした研究分野である。驚くべきことに、現在の宇宙論では宇宙の大部分は未だ直接発見されていない「ダークエネルギー」で占められていることがわかっている。しかしながら、その物理的起源、性質は全く未知であり、物理学における最大の謎となっている。本研究の概要は、この謎に大規模な銀河観測データを用いて挑むことである。
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研究実績の概要 |
現在の宇宙は加速的に膨張しており,その原因は,ダークエネルギーという未知のエネルギーが宇宙に満ちていると考えられています.しかしながら,ダークエネルギーの理論的正体は現在では全くの不明です.アインシュタイン方程式の中で宇宙定数という項を加えることで現在の加速宇宙を説明できることは知られていますが,それには宇宙定数を不自然なまでに小さい値とする必要があります.ダークエネルギーは本当に宇宙定数なのか,時間発展はしないのか,などは,私の専門である観測的宇宙論における主たる興味となっています.
これまでダークエネルギーの制限には,数十万個にも及ぶ銀河の分光データから,銀河の2点相関関数という統計量が用いられてきました.本研究では,2点相関関数を超えて,銀河の3点相関関数という新たな統計量を測定し,そこからダークエネルギーへの制限を与えることを目的としています.これまで私は,銀河の3点相関関数の新たな測定手法を開発し,また測定値を説明するための理論モデルを用意するなど,宇宙論的な統計解析に必要な道具を全て一から開発してきました.そして,実際の宇宙を模したモックシミュレーションデータに対し,私の開発した解析手法を適用し,正しく宇宙論パラメータを推定できることも確認することに成功しました.これらの研究成果をもとにして,現在では,確立した解析手法を実際の銀河データに適用する研究を進めています.
私は,2022年1月1日から2022年12月31日までの1年間,育児休業を取得し,研究活動を中断していました.しかしながら,研究活動再開後にはこれまでの研究成果をまとめ,論文を執筆し,現在論文誌に投稿中となっています.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
銀河の非等方三点相関関数という,私独自の統計量解析手法を確立するにあたって,事前の予想とは異なる様々な発見がありました.例えば,当初はダークエネルギーへの制限を強化することを目的としていましたが,三点統計量が重力理論の検証に非常に有用であることを新たに発見しました.このように,研究を進めることで当初の予想を上回る発見があり,計画以上に研究が進展していると判断しました
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,シミュレーションにおいてその妥当性を確かめた,銀河三点相関関数の解析手法を,実際の銀河データに適用する研究を完成させることです.そうすることで,世界最高精度のダークエネルギーへの制限を達成することが可能となると考えています.
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