研究課題/領域番号 |
19K14707
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
多田 祐一郎 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (90837022)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | インフレーション / 確率形式 / 原始ブラックホール / 重力波 / ストカスティック形式 / 宇宙論 / 量子重力 |
研究開始時の研究の概要 |
量子論と重力理論の統合は現代物理学の課題の1つであるが、両方に関係した重要な現象として重力による量子ゆらぎの古典化がある。特に宇宙初期の急激な膨張期 (インフレーション) ではこの古典化により、現在の宇宙における銀河や星などの構造の元となる密度ゆらぎを生み出したと考えられている。このように古典化したゆらぎを扱う方法としてストカスティック形式が知られており、我々はこの形式と純粋な量子論的計算を比較することで古典化の謎に迫る。同時に、ストカスティック形式では量子ゆらぎを古典ゆらぎとして簡略的に扱うことで逆に計算の幅が広がるので、これをインフレーション模型の包括的解析に応用していく。
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研究成果の概要 |
研究期間中に計13本の論文を発表。特に1908.08694では確率形式を用いて非常に長く続くインフレーション理論を提唱・検証し、2008.07497では確率形式をインフラトン場に対し共変な形で再定式化、既存の不定性を解決した。2111.15280では確率形式において任意に粗視化した宇宙論的ゆらぎの確率密度関数を計算する手法を確立し、インフレーションから天体形成までの最後のピースを埋めた。研究成果は24件の国内外会議および11件のセミナーで発表し、Online JGRG Workshop 2020ではOutstanding Presentation Award Gold Prizeを受賞した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によってインフレーションの確率形式が不定性なく定式化され、またインフレーションから天体形成までの全ての過程を確率形式において計算することができるようになった。これによりあらゆるインフレーション理論に対し結果的な観測量を計算する準備が整ったと言える。例えば現在暗黒物質の候補として原始ブラックホールが再注目され、その副産物としての重力波などについても、私自身のいくつかの研究を含め世界的に研究が進められているが、これらを一貫した手法で解析するために本研究成果が役立つであろう。
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