研究課題/領域番号 |
19K14714
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳生 慶 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (30825097)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | CP対称性の破れ / 複合ヒッグス / 強結合 / CPの破れ / ヒッグス / ヒッグスボソン / 強結合理論 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒッグスボソンの質量の量子補正に現れる2次の紫外発散は、素粒子標準模型(SM)が自然にはテラスケールで新物理に切り替わることを示唆するが、測定された質量はそれに対して1-2桁小さい。本研究では、この「軽いヒッグスボソン」を自然に導くシナリオとして、ヒッグスボソンの正体がテラスケールにおける強結合の力学によって生じる擬南部・ゴールドストンボソン(pNGB)である可能性に注目し、SMの枠内では説明できないニュートリノ振動、暗黒物質の存在、宇宙のバリオン数非対称性をpNGBとしてのヒッグスボソンのシナリオで統一的に説明する新しい方法を開拓する。
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研究成果の概要 |
本課題では、大域的対称性の破れSO(6)→SO(4)×SO(2)に基づく複合2-Higgs Doublet ModelにおけるCP対称性の破れ(CPV)の現象論的性質を研究した。このシナリオでは強結合セクターに由来する非自明な複素位相により、低エネルギーでの湯川相互作用及びヒッグスポテンシャルにCPVが予言される。電弱精密測定等の既存実験の 制限の下で、ヒッグスボソン質量、結合定数、崩壊分岐比等を計算しそれらの間の相関を調べた。特に、2個の付加的な中性ヒッグスボソンの弱ボソン対への崩壊分岐比が同時に最大で数パーセント程度なりえることを明らかにし、CPVを加速器実験で検証し得る可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電弱対称性の自発的破れは、暫定的には素粒子の標準模型(SM)で仮定されるヒッグスポテンシャルにより誘起されると考えられているが、その背後にはポテンシャルを力学的に生成する機構が存在すると期待されている。一方でCP対称性の破れ(CPV)は宇宙のバリオン数非対称性を説明する上で重要な要素の一つであるが、SMの枠内ではその量が不十分であることが知られている。本課題は、上記の問題を「テラスケールにおける強結合の物理」という共通のキーワードで解決する試みである。実際に、強結合セクターを起源として、CPVを伴うヒッグスセクターを具体的に構築・計算し、バリオン数生成の問題を解決する新たな方向性を示した。
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