研究課題/領域番号 |
19K14715
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 学習院大学 (2022) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2020-2021) 立教大学 (2019) |
研究代表者 |
伊形 尚久 学習院大学, 理学部, 助教 (40711487)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ブラックホール / 一般相対論 / ブラックホールシャドウ / 光子脱出確率 / ニアホライズン対称性 / 臨界極限 / シャドウ / 対称性 / 脱出確率 / 光子リング |
研究開始時の研究の概要 |
ブラックホール候補天体のシャドウの観測が間近に迫っている. 特に,観測候補であるM87銀河の中心にあるブラックホール候補天体は,超高速回転している可能性が示唆されている. この現象を,ブラックホールに由来するものと同定するためには, ブラックホール特有の性質であるホライズンと密接に関連した観測可能量を見出さなければならない. そこで本研究では, 一般相対論にもとづいて,超高速回転するブラックホールを記述する(近) 臨界Kerrブラックホールを研究する.この臨界Kerrブラックホールにあらわれる対称性が,観測的にどう反映されるかについて考察する.
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研究成果の概要 |
回転ブラックホール時空において、シャドウ(暗いスポット)の周縁部の明環と直接関係する球面光子軌道について研究を行った。ブラックホールスピンの臨界値極限を考えると、球面光子軌道の一部の軌道半径がホライズン半径に極限することを示した。さらに、スピンの臨界値極限において、このクラスに属する光線束の膨張・剪断変形を生成する時空曲率が十分小さくなることが示され、結果としてホライズンの近くを周回運動するときの減光率が抑制されるという結果が得られた。また円軌道の光源から等方的に放射される光子の脱出確率を評価し、円軌道のとり得る半径に依らずに、光子脱出確率が50%を上回ることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
M87銀河の中心に位置する大質量コンパクト天体の電波観測によりシャドウが実際に観測されたものの、この現象はブラックホール時空だけで起きる現象ではないため、中心天体の正体の解明のためにはホライズンの近くで起きるブラックホール特有の現象に着目することが重要である。本研究の成果は、超高速回転ブラックホールのホライズンの近傍領域で起きる特異な性質が観測可能な現象と関係づくことを明らかにするとともに、観測可能性が高くなる傾向にあることを示している。これは今後ブラックホールの観測的な成果が次々に報告される時代に、重要な視点をもたらすと考えられる。
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