研究課題/領域番号 |
19K14721
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 (2020) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2019) |
研究代表者 |
芝 暢郎 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (20782882)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 場の理論 / 量子情報 / 量子エンタングルメント / ゲージ重力対応 / 素粒子論 |
研究開始時の研究の概要 |
場の量子論のエンタングルメントという視点から、量子重力理論の有力候補である超弦理論において重要な役割を果たすホログラフィック双対性について理解を深め、量子重力の性質を解明していく。特に場の量子論におけるエンタングルメントの性質とホログラフィック双対性の量子情報的解析の研究を行う。前者はまだ未解明な部分の多い外場がある時のエンタングルメントエントロピーの研究などを行い、エンタングルメントの性質のより詳細な知識を得てホログラフィック双対性の研究に応用する。後者は量子状態間の距離を測る量である量子情報計量のホログラフィック双対な記述などについて研究し、ホログラフィック双対性のメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、場の量子論のエンタングルメント(量子もつれ)という視点から、量子重力理論の有力候補である超弦理論において重要な役割を果たすホログラフィック双対性についての理解を深め、量子重力の性質を解明することである。今年度はこのテーマについて3本の論文を学術雑誌に出版した。 場の量子論における相互情報量について研究した。相互情報量とはエンタングルメントエントロピーからつくられる量子情報理論における重要な量である。エンタングルメントエントロピーが1つの部分系と他の部分系の間のエンタングルメントの度合いを測るのに対して、相互情報量は2つの部分系間の相関を測る量である。自由スカラー場理論において、2つの遠く離れた領域間の相互情報量の新しい計算方法を開発し、この相互情報量について新しい性質を発見した。この計算方法は特に数値計算に適している。今回新しく開発した計算方法を使うと相互情報量を直接数値計算で計算することができるので従来の方法に比べて計算量を大幅に減らすことができる。 また場の量子論におけるpseudo entropyについて研究した。Pseudo entropyはエンタングルメントエントロピーを一般化した量であり、Pseudo entropyのホログラフィック双対は時間方向に変化するユークリッド時空でのシンプルな幾何学的な量になりホログラフィック双対性を理解するために重要な量である。本研究では自由スカラー場などでpseudo entropyを計算する一般的な方法を確立し、様々な性質を調べた。 また加速運動する鏡のホログラフィック双対性について研究した。加速運動する鏡は曲がった時空上の場の量子論でよく解析されるもので、ブラックホールの蒸発と類似した性質を持つものであり、この研究はブラックホールの蒸発のホログラフィック双対性の性質の解明に役立つだろう。
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