研究課題/領域番号 |
19K14731
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
牧野 友耶 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任研究員 (70835892)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | チェレンコフ光検出器 / 宇宙ニュートリノ / 氷中チェレンコフ光検出器 / 波長変換ファイバ |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙ニュートリノ観測は高エネルギー宇宙線起源の解明に向けて有力なツールである。しかし、現在の観測頻度は世界最大1ギガトン検出器体積を持つニュートリノ検出器、IceCubeをもってしても30事象/年と限定的である。観測頻度を格段に向上させるため次世代のニュートリノ望遠鏡では8ギガトンにも及ぶ超巨大な検出器体積を狙うが、実現に向けては従来の検出器技術では費用と性能の両面で難しい。そこで本研究では、安価に有効感度面積を稼ぐことのできる波長変換ファイバを利用した新しい方式の氷中チェレンコフ光検出器を開発する。期間内に南極点深氷河に埋設可能な技術実証プロトタイプ機の完成を目指す。
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研究実績の概要 |
計画中の次世代ニュートリノ望遠鏡、IceCube-Gen2は、世界最大のニュートリノ望遠鏡IceCubeの検出器体積を現行の1km^3から8km^3に拡張することで、宇宙ニュートリノの観測数の飛躍的な増大を狙う。このIceCube-Gen2の超巨大な検出器体積を実現することは、従来の検出器技術に頼っていては不可能である。8km^3にわたる検出器配列、つまりその構成要素である各チェレンコフ光検出器の低価格化、かつその感度を格段に向上させる新しい技術が必要とされる。 本研究では、安価に大面積でチェレンコフ光を高効率で収集することが可能な波長変換ファイバーを応用した検出器を提案する。検出器シミュレーションの結果からは、チェレンコフ光の有効感度面積が角度によっては80%、全体でも40%増加することが示された。本研究では、波長変換ファイバーを宇宙ニュートリノ検出に応用するために必要な基礎データを取得し、チェレンコフ光検出器として必要な性能を検証する。その後、波長変換ファイバー検出器をIceCube-Gen2に向けて開発中のチェレンコフ光検出器に搭載するための技術を確立し、南極点深氷河に埋設可能な、技術実証プロトタイプモデルを完成させる。 本年度は、プロトタイプ波長変換ファイバー検出器の絶対検出効率の入射波長依存の評価を行った。先行するシミュレーション研究で期待された性能には現段階では達していないものの、ファイバのレイヤ構造等の最適化から改善できると考えている。並行して、今後の精密測定に必要な、千葉大学内に低温下でも測定が可能なテストベンチを新しく構築した。現在は、プロトタイプモデルの試験結果を受けた上で製作した、南極点深氷河に埋設が可能なモデルの試験機の測定を進めている。
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