研究課題
若手研究
本研究課題の目的は、太陽型原始星の形成に伴う物理的構造進化と物質進化を、硫黄を含む分子 (硫黄関連分子) を軸にして明らかにすることである。とくに、惑星系形成の場である原始惑星系円盤および原始星円盤の形成領域に着目し、半統計的数 (10~20個) の天体における硫黄関連分子の振る舞いを観測する。天体間での一般性と多様性を抽出するとともに、太陽系内での観測結果などと比較することで、惑星系形成領域の化学と太陽系化学の理解を、硫黄関連分子を軸にして結びつけることを目指す。加えて、硫黄関連分子の分布の特徴を類型化し、物理的構造進化を探るための化学診断への応用を確立する。
本研究課題の目的は、太陽型原始星に対して、円盤形成領域における物理構造と化学組成分布、およびそれらの相互関係を高解像度で明らかにし、惑星系形成領域での物質進化の理解を大きく前進させることである。とくにその有効な切り口として、硫黄を含む分子 (硫黄関連分子) に着目し、高い感度と空間解像度での電波観測実験を実施した。観測された硫黄関連分子の輝線を解析し、原始星を取り巻く複雑な物理構造を切り分けた。これにより、物理構造の変化に伴い、硫黄関連分子の分布が急激に変化する様子を明らかにした。また、天体間での硫黄関連分子の組成の多様性を見出すとともに、その化学進化の統一的描像を提起した。
若い太陽型原始星まわりでの惑星系形成と、そこでの物質進化を探ることは、我々が住む地球のもつ豊かな環境の起源の理解に直結する重要な研究課題である。しかし、惑星系の母体である原始惑星系円盤が、原始星の周りに「いつ」「どのようにして」作られるのか、またそこでどのような物質進化が起きているのかについては、観測的にも理論的にも未開拓の領域として残されてきた。本研究課題では、太陽系内の彗星でも検出され注目を集める硫黄関連分子を軸に、惑星系形成領域における物理過程と物質進化の理解を前進させた。この成果は、惑星系形成領域と太陽系化学を結びつける端緒を与えると期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
The Astrophysical Journal
巻: 904 号: 2 ページ: 185-216
10.3847/1538-4357/abbe14
巻: 900 号: 1 ページ: 40-59
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10.3847/1538-4357/ab2b97