研究課題/領域番号 |
19K14760
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2022) 国立天文台 (2020-2021) 大阪大学 (2019) |
研究代表者 |
田中 圭 東京工業大学, 理学院, 助教 (20634455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大質量星形成 / ALMA / 低金属量 / 大質量星原始星 / 模擬観測 / 大質量原始星 / MHDシミュレーション / 輻射フィードバック / 理論天文学 / 電波天文学 / 計算物理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、大質量星の形成過程に理論・観測の両面から迫る。大質量星は、自身が放出する強烈な輻射と磁場駆動のアウトフローによる複合的なフィードバックを受けながら誕生する。しかし、両物理機構を整合的に考慮した研究は未だに行われていない。そこで本研究では輻射磁気流体シミュレーションにより、両フィードバックのもとでの大質量星形成の様子を理論的に明らかにしてゆく。同時に、最新のALMA望遠鏡による大質量原始星の観測提案・データ解析も進める。理論モデルと観測データの比較により、強烈な輻射と磁気駆動風のもとでの大質量星形成過程の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では理論と観測の両面から大質量星形成過程の解明に取り組んでいる。下西准教授, 徳田特任助教, Zhang研究員, Ginsburg助教等とのALMA望遠鏡を用いた国際共同研究では、様々な成果が得られている。大小マゼラン雲における大質量原始星サーベイ観測が進行中で、特に今年度は小マゼラン雲におけるアウトフロー、ホットコアの初検出を報告することができた。初期宇宙に似た低金属量における大質量星形成の物理・化学過程の普遍性と多様性に新たな知見が得られつつある。また、大質量原始星高分解能観測のALMAアーカイブデータの詳細解析を進め、塩化ナトリウムNaCl輝線が付随する10個の原始星円盤を同定した。本成果は大質量原始星円盤における化学特性が、良く知られたホットコア化学とは大きく異なり、より高温・高密度の新しい化学特性を持つことを示している。合わせて、大質量原始星の理論研究も進めている。山室氏, 奥住准教授との共同研究から、ダスト成長・破壊を考慮した大質量原始星円盤の理論モデルの構築に成功した。本モデルと、観測から推定される大質量原始星円盤中のダストサイズと組み合わせることで、岩石ダストの付着力を求めることが可能となる。松木場研究員との共同研究では、輻射流体力学シミュレーションを用いた円盤自己重力安定性についての詳細な研究を行い、低金属量環境では重力不安よる激しい円盤分裂が発生することが明らかになった。Jan Staff研究員等との共同研究では、MHDシミュレーションを用いた大質量原始星アウトフローフィードバックの長時間進化を追うことに成功した。得られた結果は、我々のALMA観測とも整合性の高いもので、星形成効率は~50%であることが示された。これらの理論をもとにした新たな観測提案も行い、今後は宇宙史を通じた星-惑星形成の理解にも大きな貢献ができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通り研究が進められている。ALMA観測では想定していた以上に成果が得られており、多くの発見に繋がっている。理論面からも、ダスト成長や円盤分裂の物理過程が詳細に理解されるようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もさらに理論と観測を密接に連携させることで、大質量星形成過程の包括的理解につなげたい。特に、大質量原始星の降着円盤物理・化学については、この数年で大きな進展があった。今後は、詳細な理論モデルと高分解能観測の直接比較によるシナリオ検証を進め、~1000Kの高温宇宙化学、すなわち宇宙鉱物学の発展を目指したい。
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