研究課題/領域番号 |
19K14810
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西山 竜一 東京大学, 地震研究所, 助教 (10835101)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 宇宙線 / 電子・陽電子・ガンマ線 / 土壌水分 / 地下水 / 火山 / 重力 / 電磁カスケード / 宇宙線電磁成分 |
研究開始時の研究の概要 |
火山噴火に伴うマグマの移動を検出したい.そのために,地表における重力加速度の大きさを常時モニターしている.マグマが地表に近づくと,その効果が万有引力の強弱として捉えられるはずであるからだ.しかし実際には,降雨にともなう地下水による万有引力の擾乱が,マグマによる微弱な重力変動をマスクしてしまうことが知られている.本研究はこのような地下水擾乱の問題を解決するために,宇宙から降り注ぐ宇宙線の観測(なかでも電子・光子などの電磁成分)を併用する.具体的には,宇宙線の時間変動から観測点周囲の土壌水分量を直接的に測定し,連続重力データから地下水の効果を取り除き,マグマの移動をクリアに描き出すことを目指す.
|
研究実績の概要 |
火山地域で得られた重力の時系列データを調べると、降雨に追随した変動が見られることがある。これは、雨水の質量による万有引力の効果を重力計が受けるためであり、このような地下水擾乱の効果を補正することによって初めて、マグマの質量移動を正しく議論できる。本研究は、地下に宇宙線検出器を設置し、宇宙線に含まれる電磁成分(電子・陽電子・ガンマ線の総称)の吸収率を測定することで、土壌水分量を正確に理解することを試みた。具体的には、桜島の有村観測坑道(国土交通省)および鹿児島市街の横穴坑道(京都大学防災研究所)において実証観測を行った。その結果、大気圧変動や水蒸気圧変動などの大気擾乱による効果を回帰分析により取り除くと、電磁成分のイベント数が連続雨量に応じて減少することが確認された。この降雨に伴うイベント数の減少はモンテカルロ・シミュレーション結果とも整合することを確認した。ただし、実際に観測されたイベント数の減少は、当初予想していたよりも小さく、土壌水分量をリアルタイムで定量的に議論することは難しかった。しかし今後、検出器に改良(大面積化・ミュオンを併用した解析)を加えることで、上記の降雨起源の重力変動を効果的に補正できるだろう。 2023年度は、横穴坑道における観測の継続と撤収作業を行った。また、火山活動に伴う重力変化を議論するために、円錐型の地形中にマグマが流入した場合に生じる変形場・重力変化場を計算するモデルを作成した。 以上のように本プロジェクトは、火山活動にともなう重力変化のモデル化や、そうした重力変化をとらえるための降水起源ノイズ低減に向けた基礎的な研究成果をもたらした。
|