研究課題/領域番号 |
19K14830
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
奥村 知世 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90750000)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | チムニー / 生命の起源 / 蛇紋岩化作用 / アルカリ湧水 / ブルーサイト / カルサイト / ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生命誕生・進化の場として有力視されている海底熱水・湧水で発達するチムニーについて、合成実験と,天然試料の局所化学分析ならびにゲノム解析を組み合わせることで,より高解像度で具体的なチムニー内での生命誕生のシナリオを提案することを目的とする。研究対象は,初期地球や火星・エンセラダスなどの水が存在する天体において普遍的に生じることから,生命誕生・進化の場のアナログとして注目されている蛇紋岩化作用に関連したアルカリ性の湧水のチムニーとする。
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研究実績の概要 |
本研究では、初期生命誕生・進化の場のアナログサイトとして有力視される蛇紋岩化作用に関連した海底アルカリ湧水で発達するチムニー内で生じる物理化学・生化学プロセスの実態を明らかにすることで、チムニー内における生命誕生のシナリオを提案することを目的とする。 令和5年度は、インジェクション法によるチムニー組織形成実験について、さらなる改良を進めた。また、研究対象であるアルカリ性湧水のチムニー内部の構造の微細組織について、X線CTを用いた3次元的な構造解析を進めた。今年度は、主な研究対象であるしんかい湧水域の試料だけでなく、研究協力者より提供された、北大西洋のサイト及びマリアナ前弧域のアルカリ湧水から採集された炭酸塩チムニーの構造解析も進めた。その結果、これらのアルカリ湧水で発達するチムニー組織や鉱物組成において共通点が見出された。特に、mmオーダーの細い流路組織が束になった組織は、比較的活発な湧水活動が生じる場所では普遍的に認められるものの、続成過程で形成されると思われる組織は、サイト毎に異なることが明らかとなった。また、しんかい湧水域のチムニー組織と微生物の分布について、チムニータイプやチムニー内/外といった部位ごとに分けて詳細に調べた。さらに、令和5年度に行われた南部マリアナの海底地質調査航海に参画し、主な研究対象であるしんかい湧水域周辺の炭酸塩の試料を採集し、鉱物組成や微細組織などといった基礎的な記載を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は組織形成実験及び天然試料における組織の構造解析をすすめることができた。また、令和5年度に行われた南部マリアナの海底地質調査航海で採集された岩石試料では、一部では、炭酸塩を含む試料が認めら、チムニーを構成する炭酸塩と比較できる試料が得られた。しかし、令和5年度に予定されていたしんかい湧水域を対象とした現地調査航海が次年度へと延期されることとなったため、予定していたフレッシュな試料が入手できず、分子生物学的解析が遅れる形となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに進めたチムニー形成実験の結果と天然試料の構造解析結果を比較し、蛇紋岩化反応に関連したアルカリ性湧水で発達するチムニー組織の一般性を取りまとめる。また、令和5年度に採集された深海湧水域周辺の海底から採集された炭酸塩試料について、鉱物学的・地球化学的な情報を取りまとめ、湧水活動との関係性を検討する。一方、先述の通り調査航海が令和6年度に延期されたしんかい湧水域の再訪については、報告時には、調査日程は未確定ではある。令和6年度に再訪が叶い、新たにフレッシュな試料を採集できた場合は、ゲノム解析及び組織ごとの微生物の分布を広く解析する予定である。
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