研究課題/領域番号 |
19K14833
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
伊左治 雄太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 研究員 (80836320)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヘム / 海洋鉄循環 / 炭素・窒素安定同位体比 / 生物地球化学 / 高速液体クロマトグラフィー / 定量分析 / 炭素安定同位体分析 / 窒素安定同位体分析 / 海洋化学 / 炭素・窒素安定同位体分析 / 炭素・窒素・鉄安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄は海洋で最も枯渇している必須微量元素である。海洋鉄循環は地球表層システムを駆動する一次生産の主要な規定要因であるが、海洋の鉄の動態に関する我々の理解は十分ではなく、現状では海洋鉄循環を定量的に制約できていない。その根本には、海洋溶存鉄の99%以上を占める有機鉄リガンドに関する知見が乏しいという問題がある。そこで本研究では、海洋表層の主要な有機鉄リガンドであると考えられるヘムbに着目し、定量法および炭素・窒素・鉄安定同位体比分析法を確立する。確立した手法に基づいて海洋のヘムbの濃度分布と起源を明らかにし、海洋鉄循環の全容を解明する上で不可欠な鉄の再生産を定量的に評価する。
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研究成果の概要 |
本研究では、鉄を含む生体分子であるヘムBに着目し、海洋の微生物中に存在する鉄(=生物源鉄)の分布と動態の解明に取り組んだ。具体的には、環境試料に含まれるヘムBを高感度で定量する手法を開発し、海水中や堆積物中のヘムBの濃度分布を明らかにするとともに、それを決める各環境因子(微生物量、植物プランクトン群集組成、光量、溶存態鉄濃度、硝酸取り込み量)の影響を評価した。さらに、ヘムBの炭素・窒素安定同位体比分析法を新たに開発し、海水中のヘムBがどのような微生物群に由来するのかを明らかにした。ヘムBに関する世界で初めての知見に基づいて、海洋の生物源鉄の動態解析を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海洋における鉄の動態は、地球表層の物質循環や気候変動の重要な駆動因子である。しかし、海洋鉄循環の「生物プロセスが関わる側面」に関しては十分な知見が得られていない。本研究で明らかになった海水中の生物源鉄の由来や動態に関する新知見は、生物プロセスを含めた包括的な海洋鉄循環像を確立する上で不可欠な成果である。今後も同様の解析を全球的に進めることで、人間活動に起因する鉄供給分布の変化(例えば、人為起源鉄の排出、砂漠化、氷床溶解)に対する地球システムの応答を高精度に予測することが可能になると期待される。
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