研究課題
若手研究
大気CO2分圧 (以後、pCO2) の変動を見積もることは、地球の表層進化を読み解く上で重要である。しかし、現状のpCO2変動の推定は、手法的にも復元可能な年代的にも限られている。近年、熱水性石英中の流体包有物を用いた古大気組成の推定が行われている。そこで、本研究では、熱水性石英中のFIを用い、溶存イオン分析、溶存ガス分析を行い、pCO2変動を見積もる。本研究により、初めて35億年前から現在までの定量的なpCO2変動推定に基づく、表層環境進化の議論を可能となる。
本研究では、地球の歴史を通じた大気中の二酸化炭素(pCO2)変動を明らかにするために、4500万年前から35億年前までの熱水性石英中の流体包有物を分析を行った。流体包有物の溶存ガス分析やAr同位体分析、溶存イオン分析を組み合わせることにより、24億年前と35億年前のpCO2を推定した。特に、35億年前の試料では高いCO2濃度が確認され、pCO2が太古代から原生代にかけて減少していることが示唆された。
本研究の成果は、地球温暖化などの目の前にある環境問題を、地球の46億年の歴史を通じて理解を深める上で重要です。また、太陽系外で地球型惑星を調査する際にも、本研究の様に地球環境の変動の幅を理解することは重要です。本研究手法は、既存の古土壌やモデル計算に基づいたpCO2推定とは独立しているため、pCO2変動の経年変化を補強もしくは、新たな変動パターンを提供することができます。さらに幅広い時代の試料が産しているため、広範な年代幅の推定値を提供することができます。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
Nature
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Minerals
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