研究課題/領域番号 |
19K14837
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白須 圭一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20757679)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | カーボンナノチューブ / 欠陥修復 / 層間架橋結合 / 公称強度 / 分子動力学 / 熱処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,炭素雰囲気中での多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の熱処理により欠陥修復および層間架橋結合量制御を行い,平均公称強度が10GPaを超えるMWCNTの創製を目的とする.まず,シミュレーション研究により層間架橋結合を導入したMWCNTモデルの引張試験計算を行い,層間架橋結合量,ナノチューブの実強度およびMWCNTモデルの公称強度との関係を評価する.次に,実際に熱化学気相成長(CVD)法を用いて薄層のMWCNTを合成し,炭素雰囲気中で熱処理を行うことで熱分解炭素をMWCNTへ供給する.得られたMWCNTの力学特性を走査型電子顕微鏡(SEM)内引張試験法を用いて評価する.
|
研究成果の概要 |
エチレン-アルゴン混合ガス雰囲気下のもとカーボンナノチューブ(CNT)に熱処理を行い,熱分解炭素を吸着させることでCNTの欠陥修復と公称強度の改善を行った.700℃程度の温度と1000Paのエチレン分圧条件で熱処理することにより,CNTの公称強度が10 GPaを超えることが明らかとなった.また,分子動力学シミュレーションにより,層間架橋結合,CNTの実強度および公称強度の関係を評価した.多層CNTの全層で破断するために必要最小限の層間架橋結合を導入することで公称強度が最も大きくなることがわかった.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CNTの紡績糸製造技術が開発されて以降,炭素繊維に代わる高強度繊維材料としての適用が期待されているものの,実際に合成した紡績糸の強度は炭素繊維に及んでいない.本研究ではエチレンガスを熱分解した際に発生する熱分解炭素をCNT表面に吸着させることで合成時に内在する欠陥を修復することで強度特性の改善を行った.紡績糸の強度特性改善のためには,CNT同士の結合も必要ではあるものの,CNT単体の構造制御と強度特性改善が重要な要素である.今後,本技術を紡績糸に対して行うことで,熱分解炭素によるCNT間の界面特性の向上も期待され,高強度紡績糸の開発に有益なものになると考えている.
|