研究課題/領域番号 |
19K14880
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
焼野 藍子 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (30634331)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 乱流 / 流体制御 / 安定性解析 / 遷移 / 非モード安定性 / エネルギー過渡増幅 / 境界層 / マルチスケール / 非平衡乱流 / 大規模構造 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で,時空間的な大スケール変動に重畳する小スケールの渦の特徴的な振る舞いが観察されている.本研究ではマルチスケール変動の非線形効果を考慮,非直交モードによるエネルギー過渡増幅にも焦点をあて,非定常/非一様流れの大域的安定性解析を実施,乱流の秩序構造の生成機構とそれらの相互作用の理論的解明を目指す.支配方程式に,申請者が検討を進めてきた時空間平均・位相変動・擾乱の三つのスケール分解をもとにしたレイノルズ応力モデル(Yakeno et al., PoF 2014)を組み込むことより,種々のマルチスケール流体現象が非直交性によるエネルギー過渡増幅として説明されるかを明らかにする.
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研究成果の概要 |
申請者は,非定常かつ非一様な流れ場に対する流体の大域的な安定性解析を実施することで,流れのマルチスケール相互作用の理論的解明を試みた.特に非直交モードによるエネルギー過渡増幅に注目し,スパン方向壁変動場の抵抗低減や境界層の遷移遅延に関する幾つかの新知見の獲得に成功した.スパン方向壁振動では斜めのストリークが成長し元のストリークが弱化するが,エネルギーの最大過渡増幅の結果と整合した.境界層では壁極近傍に斜めの流れ構造が存在することを初めて確認し,こちらもエネルギーの最大過渡増幅モードと一致した.そのほか航空機後退翼の三次元境界層の遷移や微小粗さの遷移遅延効果についても新しい発見や提案を行った.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
流体機器の低抵抗化は省エネルギーやCO2排出削減を大幅に達成できるため,喫緊の最重要課題の一つである.抵抗の増加は,機器表面近くの流れの秩序運動が主原因である.これまで様々な流れの制御手法が検討されてきているが,いずれも効果が低くとどまるか実現不可能であった.一方,近年の計算機の発展により秩序運動がさらに理解が深まっている.特に支配方程式の非直交的性質による「エネルギーの過渡増幅」により,秩序の発生という世紀の問いの一つが解かれつつある.本研究成果は,基礎理論の拡張にとどまらず,実現可能な新技術の提案をさらに期待できるものである.制御概念はあらゆる流体機器に適用され社会的波及効果は莫大である.
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