研究課題/領域番号 |
19K14892
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
西尾 悠 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70712743)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 受容性 / 境界層 / 前縁受容性 / 流れの安定性 / 境界層遷移 / 後退翼 / 流体工学 / 安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は後退翼の前縁部における乱れの受容のメカニズムを解明することを目的としている。乱れの受容とは主流中のわずかな速度変動が境界層内に侵入し,乱流遷移の種(初期乱れ)へと変換される現象のことを指し,この現象が境界層遷移の位置を左右する。しかし,その変換メカニズムや侵入する程度は明らかになっておらず,遷移位置の高精度な予測は未だ難しい。そこで本研究では,主流中の乱れ強さや取り込まれる位置,積分スケール,異方性という乱れの特徴に対して,境界層への乱れの侵入の程度を調査した上で,主流中の渦構造と境界層内に生じる渦構造との関係を調査し,乱れの受容のメカニズムを明らかにすることを目指す。
|
研究成果の概要 |
主流乱れとして渦度変動を平板前縁近傍にのみ導入し,実験では得ることが難しい前縁部に形成される境界層内の速度場や渦度場の解析や流れ場の観察を行った。さらに,主流乱れを構成する渦の運動と流れ場の関係を考察することによって,局所的な外乱を導入した場合の平板前縁受容性の物理的メカニズムの解明を試みた。結果として,境界層中にストリーク構造が形成される理由は,縦渦対が平板前縁先端部で選択的に増幅されたためであり,その増幅メカニズムは前縁の場所ごとに異なることが明らかとなった。また,前縁淀み点ではなく,それよりもやや下流に乱れの受容に特に大きな影響を与える箇所があることが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
前縁受容性は盛んに研究が行われているが,主な乱れの受容点である境界層が成長し始める物体前縁部における乱れの生成機構については,境界層が薄く計測が困難なこともあり未解明な点が多い。本研究ではこの問題に対して,直接数値計算を用いることで前縁付近の流れ場を再現し,渦度の変形や移流に着目し物理メカニズムの解明に取り組んだものである。得られた研究結果は,輸送機器の摩擦抵抗の増大を招く境界層遷移を遅らせる遷移制御の一助となる知見である。この遷移制御が可能となれば,流体機器,特に大型の輸送機器の輸送効率向上につながり,現在人類が抱える環境問題の解決にも貢献し得る。
|