研究課題/領域番号 |
19K15034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石田 茂之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90738064)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 臨界電流特性 / 鉄系超伝導 / 欠陥構造 / 磁束ピン止め / 粒子線照射 / 鉄系高温超伝導体 / 磁束ピンニング / 人工欠陥 / 中性子線照射 / インターグロース / 化学組成制御 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄系高温超伝導体は、大きな臨界磁場を持ち、その磁場方位異方性が小さいことから、高磁場発生磁石への応用が期待されている。超伝導磁石応用において、電気抵抗ゼロで輸送可能な最大電流密度(臨界電流密度:Jc)の向上は必須である。Jcは超伝導体そのものの特性に加え、超伝導体内の欠陥構造に大きく依存する。そこで本研究では、鉄系高温超伝導体をターゲットに、種々の単結晶試料に対して人工欠陥の導入および欠陥構造の最適化を試み、Jc向上を目指す。
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研究成果の概要 |
鉄系超伝導体(ドープしたBaFe2As2)について、中性子線照射により人工欠陥を導入し、臨界電流密度(Jc)に及ぼす影響を調べた。照射前後でJcが最大化する化学組成が異なることを明らかにするとともに、照射後の試料でJcが臨界温度(Tc)の2.25乗に比例する関係を見出した。これはJcが対破壊電流密度(Jd)に比例することを示唆し、Jc測定からJdの情報が抽出できることを示した。 また、CaKFe4As4について走査型透過電子顕微鏡を用いた微細構造観察を実施し、CaFe2As2およびKFe2As2のインターグロースを見出し、これらが有効な磁束ピン止め中心となり高いJcに関連していることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鉄系超伝導体は高磁場応用材料として注目されており、臨界電流特性向上が求められている。本研究により人工欠陥の導入でJcが最大化する化学組成が変わることが明らかになり、これはJc向上の指針となる重要な成果である。加えて、Jc測定により超伝導パラメータであるJdが抽出可能であることを見出しており、応用だけでなく基礎研究でも重要な成果といえる。また、CaKFe4As4に特有の、天然の欠陥構造を見出したことは、本物質の応用ポテンシャルを裏付ける成果であり、試料の合成条件の最適化によりJc向上につながることが期待される。
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