研究課題
若手研究
液体原料によるSiN低温再成長技術と2次元材料物質を組み合わせることによって,高い非線形光学効果を有する2次元材料埋込型導波路の実現をめざす.2次元層状物質の1種であるグラフェンは桁違いに大きい3次非線形光学効果を有する一方,周囲の材料による励起光の非線形吸収(2光子吸収および自由キャリア吸収)や伝搬モードとの重なり制限を含む課題があった.本研究では,光伝搬モードを形成する材料を根本的に見直し,より高い非線形光学効果を実現するための液体原料による低温(<150℃)のSiN再成長技術を開拓する.
バンドギャップが大きく,多光子非線形吸収の影響を受けにくいSiN導波路を用いることで,高効率かつ広帯域なコヒーレント光の生成を目指すと共に,液体原料によるSiN低温再成長技術を確立し,グラフェンと光伝搬モードの重なりを最大化するための検証を進めた.SiN成膜では,わずか100℃の低温環境において,高速成膜(>100 nm/min)かつ低損失(0.5 dB/cm)を達成し,埋込再成長や多層集積に適した手法を実現した.続いて,逆リブ構造のグラフェン埋込SiN導波路を設計し,非線形パルス伝搬シミュレーションや素子作製,基礎光学評価まで本年度中に終えた.
光周波数コムは周波数軸上で規則正しく並んだ「光のものさし」であり,幅広い科学や産業分野に変革をもたらす重要な光技術である.長さの国家標準(特定標準器)が近年に光コム発生器をもって置き換えられたほか,光格子時計を利用した高精度な時刻標準の生成にも光周波数コム技術は欠かせず,今後身近な電子機器や通信技術へ波及する見込みである.一方で,既存の光コム装置は大型固体レーザもしくはファイバレーザが主流であり,消費電力,筐体サイズおよび作製コストなどの課題が山積している.本研究では,独創的な超高非線形導波路による高効率光コム発生源の基盤技術構築を目標とする.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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