研究課題/領域番号 |
19K15151
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 香川大学 (2020-2022) 九州大学 (2019) |
研究代表者 |
山本 高広 香川大学, 創造工学部, 助教 (30838579)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 電力需要 / 給湯需要 / 省エネルギー / 行動変容 / 実測調査 / 給湯負荷の収集 / コロナウィルス感染拡大に伴うエネルギー消費の変動 / 住宅の給湯負荷 / 住宅の電力負荷 / エネルギー消費行動変容 / 給湯負荷実測調査 / 電力・給湯負荷の実測 / VPP |
研究開始時の研究の概要 |
現在、電力需給問題緩和の方策として、エネルギー消費に関する行動変容(Behavior Change)が注目されている。しかし、現実の住宅での効果を推計するには、実住宅での細かい電力・給湯負荷変動パターンやその日別変動についての報告が十分蓄積されておらず、エネルギーの見える化をはじめとする各種の行動変容手法についても、世帯ごとの特徴を踏まえたうえで、その具体的な効果を定量的に評価した事例は存在しない。以上の背景を踏まえ、本研究では家庭内のエネルギー消費行動の把握と行動変容による電力負荷平準化効果を定量的に評価することを目的として、実住宅におけるエネルギー消費実測調査と行動変容に関する実験を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度の研究実績の概要を以下に整理する。本研究課題は電力需要データと給湯実績データの収集及び行動変容による電力需給調整能力、負荷平準化の効果を検証することを目的としており、当該年度は特に計測点の追加、データの収集を進めている。 給湯負荷実測データ、電力需要データについては2021年度より引き続き計測を継続しており、特に世帯人数が少ない世帯のデータの蓄積が進んでいる。このデータは給湯器の一次エネルギー削減効果をシミュレーション、仮想負荷実験などによって検証する際に活用が期待できる。ただし、新型コロナウィルス感染拡大に伴う生活様態の変化が懸念されることから、2022年度までに計測したデータが、感染対策などより外出などの行動が抑制されない状況(一般的かつ標準的な状況)になると予想される2023年5月以降の傾向とどのような点が異なるかについては検証が必要な状況であり、データの精査、蓄積を進めている。 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、行動が大きく変化していることや、一部の世帯においては家電製品の買い替えなどが起こっているため、行動変容の影響をより正確に把握するためには、在宅状況、家電製品、住宅の設備を定量的に把握することが望ましい。2022年度はこの点を踏まえ、行動変容実験に使用するデバイスの構築に加え、室内環境(CO2濃度, 粉じん量, 人感センサー)の計測点を追加するとともに、熱電対を用いて給湯用途の分割を計測するなどの作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度以降ICチップの不足が継続しており、センサー、データロガーなどの調達が困難な状況が続いていることから、計測、実験全般に遅れが生じている。センサー、データロガーなどについては状況が若干緩和され、電力、給湯需要実測については開始できたが、また、研究企画に挙げたRaspberryPiの入手が困難な状況は依然継続しており、使用する機材を大幅に変更するとともに、コスト感についても見直しをせざるを得ない状況となっている。主に開発機材として想定したRaspberryPiは当初6000~7000円程度でボードが調達できる見通しであったが、正規品は長期間の欠品が続いている状況であり、仲介業者などを通して購入する場合は4倍から5倍程度のコストがかかる状況となっており、また同一バージョンのボードが入手できないなど、実験にとって不利な状況が続いている。 また、実験企画時には想定されていなかった新型コロナウィルス感染拡大などの条件を扱うにあたり、CO2濃度を計測して換気量を推定するなどといった別の対処が必要となったことから、計測計画についても修正が必要な状況となっている。2023年5月以降の新型コロナウィルスの5類感染症への移行など、研究進捗が期待できる状況となっているが、当初2022年度に開始予定であった行動変容を促す実験についてはデバイス開発に留まり、実査開始に至っておらず、2021年度に引き続き遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の最終年度に入り、計測データの取りまとめ(収集したデータの分析及び仮想負荷を用いた省エネルギー設備の導入効果推計など)を進めるとともに、行動変容実験の実査に入る予定である。また、少なくとも今時点(2023年5月)以降は2020年度より開始された各種の行動規制が緩和され、諸々の生活行動も変化するものと期待できるため、行動変容実験についても調査を進める予定である。 また、当初の計画より計測開始が遅れたこともあり、実測データの収集は必ずしも順調とは言えない。難しい条件ではあるが、新型コロナウィルス感染症対策などの影響がない一般的な条件下において複数年度計測し、年ごとのエネルギー使用量の傾向変化(実験などの影響を伴わない)を分析することは重要な課題と言える。構築した計測環境を今後も継続し、長期間にわたる計測ができるよう計測の長期化に備え計測状況を修正する予定である。 行動変容実験については、系統の電力需給調整を目的とした上げDR,下げDRの実験を行う予定である。また, 一部の協力世帯においては、家庭用燃料電池などの高効率化を想定した給湯需要の平準化※に関する実験を行う予定である。 ※家庭用燃料電池はPEFC型とSOFC型が現在導入されているが、給湯需要が特定の時間に集中したり、電力需要とのマッチングに問題があると、余剰排熱が活用できずラジエーターなどから大気へ強制排熱され、その分大きなロスが発生する。給湯使用時間帯を変更することで、この状況を回避し、排熱利用効率を向上させることで一次エネルギー使用量削減効果を改善することが期待できる。
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