研究課題/領域番号 |
19K15164
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 神奈川大学 (2022-2023) 東京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
柏原 沙織 神奈川大学, 建築学部, 特別助教 (00636384)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 歴史的都市景観 / 商業地区 / 景観変容 / 可視化 / GIS / 定量的分析 / 歴史地区 / 植民地期 / 変化のマネジメント / ベトナム / ハノイ / 商業 / 都市保全 / 同業者町 / 商業集積 / 都市計画 |
研究開始時の研究の概要 |
ベトナムのハノイ旧市街は同業者町の連続を特徴とする歴史的な商住混合地区である。地区の保全規制は物理的側面を具体的に規定する一方、雰囲気を決定づける産業面の方策は不十分である。直接的な店舗の立地・業種規制は非現実的なため、建物側の規制により間接的な業種の規制誘導が考えられる。本研究は、地区の歴史的町並みの動態的保全の実現に向け、その独特の商売形態の維持誘導、また望ましくない用途の間接的な規制のための都市計画的手法について、用途と物理的側面の接点に着目しながら、地区全体・街区・建物の3スケールで検討する。先進事例も参照し、3スケールについて既存の都市計画制度の改善・新規追加施策の提案作成をめざす。
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研究成果の概要 |
歴史的都市景観(HUL)の維持継承には、その地区らしい変化の延長上の保全型マネジメント立案が重要である。本研究はベトナム・ハノイ旧市街の「職業の通り」の長期的変遷を文献・統計資料・現地調査より明らかにし、変化しながら独自性を維持する動的なシステムとしての価値を指摘した。さらにその価値を維持する同業者集積の変化プロセスの一端を、史料を用いたGISによる地区分析、植民地期と現在の通りの分析から同業者集積に関わる物理的特徴を指摘した。また、HULの変化度を測る景観スコアを開発し、景観への影響の強い転用用途を特定するとともに、現在の街区・通りよりも細やかな街区辺単位で景観管理を進める必要性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、ベトナム・ハノイ旧市街の歴史的町並みの生きた保全に向けて、①景観の変化を客観的に捉えるための景観変容スコアを開発したこと、②これまで限定的にしか捉えられていなかった同業者の集まる通りの価値を指摘し、さらに歴史に根差しつつ適応的変化を遂げた同業者の通りを価値付けたこと、③植民地期史料に基づき同業者の通りの存在と変遷を定量的に可視化したこと、④景観変化の最小単位として街区辺単位を提案したことである。さらに、歴史的都市景観の議論に対して、⑤変化の「強度と速度」の2軸の視点で歴史性を拡張することで、歴史的な町並みの許容可能な変化の限度に関する議論に向けた視点を提供したことである。
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