研究課題/領域番号 |
19K15172
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
友渕 貴之 宮城大学, 事業構想学群, 助教 (10803596)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 集落 / 復興 / 場所 / 自然災害 / 集落帰還 / まちづくり / 人を繋ぎとめる場所 / 条件不利地域 / 東日本大震災 / 住環境 / 復興まちづくり / 震災 / 土地 / パンデミック / 領域感覚 / 生業 / 場所の力 / 土地の記憶 / 居住地選択 / 復興計画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は『空間の場所化』をはかるための計画手法の構築及び『空間の場所化』により得られる効果を明らかにすることを大きな目標としている。これまで、東北の被災地を中心に『場所の記憶』の可視化、避難場所の選択と地区内再建率の関連調査、居住歴を可視化するワークシートの開発等を行ってきた。本研究期間では、『空間の場所化』により得られる効果の1つとして『人を繋ぎとめる場所の力』に焦点を当て、特性を解き明かしていくための研究モデルを構築することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究では場所とは何かということを描き出すことを大きな目的とし、本研究期間では被災地を対象に人を繋ぎとめるという観点から場所の特性を導き出すことを目的に研究を行っている。本研究期間では被災集落における集落帰還の実態から人を留めた要素の抽出に取り組んでいる。宮城県気仙沼市唐桑町大沢地区を対象にモノグラフ研究として多角的な視点から検討を行っており、集落の歴史的位置づけ、従前に形成されてきた生活環境の特徴を踏まえ、被災後の住民の居住動向の実態を解明し、集落帰還に向けた復興まちづくりの実態と居住地再生プロセスの詳細を明らかにしてきた。このように包括的に1つの集落の復興実態を解明していくことによって集落に留めることに寄与した具体的な要因として、以下の要素が抽出された。1、基礎となるコミュニティ単位が特定の領域としての土地と連動していたこと、2.集落内における社会関係が重層的に形成されていたこと、3.住宅の設えとしても社会行為を行うための空間が維持されていたこと、4.土地に根差した社会的属性を有していることなどである。また集落内で形成されてきた場所の記憶として、屋号に関するものが多く見られ、屋号によって集落内の位置づけが明確になっていることも土地に根差す要因として考えられる。またこれらの成果は論文や講演を通じて広く発信している状況である。このようにモノグラフ研究として多角的かつ包括的に捉えることで、集落帰還に至る解像度はあがっており、これらを踏まえて最終的な考察を行っていく段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では1つの被災集落を対象にモノグラフ研究として包括的かつ多角的に集落帰還に至るプロセスの調査を行ってきた。その結果、被災前の集落空間の特徴を住空間や地域への記憶から解き明かし、被災後から帰還するまでの居住動向及び復興まちづくりの実態と集落空間の変容実態について明らかにしてきた。このようなことから集落帰還に至る一連のプロセスについての研究を終えたため、これらの研究成果を踏まえて、人を繋ぎとめる場所の特性に関する考察と他事例へと展開するための方法論を最終年度に完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度までに従前地への帰還を成立させた要因を多角的に分析してきた。今後は、当該年度までに得た知見を踏まえ、従前地区への帰還を促した要因を場所に絞り、調査・分析を実施する。これまでに集落の歴史的特徴、社会関係、被災状況、居住動向、復興体制、居住空間、集落空間といった観点から包括的に集落帰還に至るプロセスと集落帰還を促した要因について分析を行ってきた。その成果を活かし、場所を形成する要素を再整理したのち、人を繋ぎとめることに寄与した要因についての抽出作業を行うことで、場所の特性を抽出するための方法論を構築していく。
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