研究課題/領域番号 |
19K15194
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 東海大学 (2021-2022) 久留米工業大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
稲益 祐太 東海大学, 建築都市学部, 特任准教授 (60832681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 都市史 / テリトーリオ / マッセリア / 農家 / プーリア / 大土地所有 / イタリア / 都市組織 / オリーブオイル搾油所 / 建物類型 / フラントイオ / 農家建築 / 農場建築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イタリア南部のプーリア州を対象に、田園地域に建つ建物の機能や空間構成、さらに農場内での配置場所の特徴を、現地での実測調査や聞き取り調査によるフィールドサーベイと文献史料の両面から明らかにすることを目的とする。イタリア南部は農民の都市居住が支配的な地域でありながらも、田園地域には様々な規模や機能を持った建物が点在していた。しかし、戦後高度成長期に市街地拡大や土地利用変化が起こっただけでなく、農業の機械化やモータリゼーションによって田園部の農家が不要となり、破壊されている。そこで、農家建築をはじめとする田園部の建物と農場の実態を記録し、建築史学の視点から価値付けを行うことは急務である。
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研究成果の概要 |
南部イタリアのプーリア州において、農家建築の形態や立地、農地規模や栽培作物から類型化を行い、地域ごとの農家建築の空間構成を把握できた。大土地所有者による農場経営が支配的な南部イタリアでは田園地帯には農村的な小規模集落は多くない。むしろ、大規模な農家マッセリアmasseriaが点在しており、農地の管理・経営拠点としての役割を果たしていた。多くの農民は土地を持たない日雇い農民で、農繁期だけ雇用されるため、普段は都市内に居住している。そのために、都市内には零細農民が暮らす小規模住宅が存在していた。これらの農家建築が、アドリア海沿岸とムルジェ台地では異なる形態や空間を構成していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
折半小作地帯の中部イタリアにおける農業景観について、生産形態や生産力に規定されて形作られていると指摘されてきたが、大土地所有地帯である南部イタリアのプーリア州の農地に着目した本研究は、景観構造の比較検討を可能にするものとなる。また、田園地帯および都市内に建つ農家建築に着目し、その建築形態や空間構成から農場経営の一端を明らかにしたことで、建築学の分野からの農業経済や景観に関する史的研究における新たな方法を提示した。
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